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箱根宮城野にアトリエ兼ガレージ完成間近。瞑想と創造のためのユニークな空間「アトリエ青騎士」をオープンします。

投稿日:2023年11月13日 更新日:

「誰もがアーティストである」この言葉を放ったのはヨーゼフ・ボイス。「社会彫刻」という概念を世に出した人物です。彼はアートの閉鎖性を批判し、市井の人々にも宿る芸術性に着目しました。私も多くの人の中に芸術性が宿ると考える立場です。そして一人一人の芸術性や創造性が開花することで、より良い社会が形作られると考えています。そんな私が少しユニークなスペース「アトリエ青騎士」を作りました。日常を離れてゆっくりと思索できる場所。考えをまとめたり何かを作ったりできる場所。キーワードは「瞑想と創造」です。そんな場所について紹介させてください。

着想ときっかけ

何かに誘われるようにふと唐突に「そうだ、オートバイに乗ろう」と思ってから4年以上が経過しました。学生時代に免許は持っていたものの、すっかり錆びついた運転感覚を取り戻すために教習所に通い、BMW G310Rを購入。その後、大型免許を取得して同じBMWのRnineT Pureを購入、今日に至ります。オートバイの素晴らしさに心底感動し、動画を撮り溜めてYouTubeチャンネル「BIKE&WORDS」も開設。気がつくとオートバイは私の生活の中心に座っていました。

その一方でコロナ禍で発現した私の新しい側面が、アーティストとしてのそれでした。白川静先生は京都にその「文字講話」を聞きに行ったほど、心酔した漢字学者です。彼の語る古代の漢字の世界はファンタジーに溢れ、私を魅了します。その古代の漢字をモチーフにした作品を私は書くようになりました。先生や先輩に恵まれての創造的な活動は私の人生にこれまた新しい潤いを与えてくれるようになりました。

オートバイを楽しもうとするとやはりじっくりそれと向き合える環境が欲しくなります。これすなわち「ガレージ」欲求。また書を楽しめる空間を追求すると日常と切り離された環境が欲しくなります。これすなわち「アトリエ」欲求。この2年ほど、私はこの2つの欲求を満たせる場所をずっと探し続けていました。いや正確に言えば、オートバイに興味が移る前から、ずっとこの「ガレージ」欲求は持っていた、ということができます。

突然の出会い

2023年の初夏、ウェブを眺めていて見つけたのは箱根の小さな部屋。麻布十番のオフィスでの創作活動はやや難しいと思っていた私はいつもどこかに小さな、でも私の心の琴線に触れるような場所はないものか、と探し続けていました。見つけた箱根の小さな部屋は家賃も安く、何しろオートバイで行くにはちょうど良い距離なので、オートバイとアートの両方が叶えられるのではないかという期待を持って、早速見に行ったわけです。

その物件は箱根の宮城野というエリアにありました。オーナーは女性の建築士でとてもユニークな印象の人でした。見せて頂いた小さな部屋は、想像していた以上に小さく、大きな紙に大きな筆で文字を書くのは難しい印象でした。その旨をオーナーに伝えると、1階の角部屋がまだ用途が決まっておらず、しかもある程度の大きさを確保できる、ということを教えてくれました。そして1階の角部屋を私のアトリエ兼ガレージとして作り上げるプロジェクトが立ち上がったのです。

その時の経緯はこちらのポストにあります。この時はガレージのコンセプトが少し勝っている感じでしょうか。

何かを始める時、何か見えない力に引っ張られるような感覚はありませんか?このプロジェクトにも何かそうした力が存在しているように思います。先述の通り、確かに私は兼ねてからガレージやアトリエを欲していた。でもそれらが突如として現実味を帯びてきたわけです。空想と現実は違います。実はただただ空想の中で微睡んでいる方が楽なこともある。見えない力に導かれて動き出した以上、現実的な課題をクリアしつつ、このプロジェクトを前に進めていかなくてはなりません。そのためにこの場所をどんなふうに作り上げていくのか、そのコンセプトやビジョンを明確化する必要がありました。

コンセプトとビジョン

不意に立ち上がったこのプロジェクトにユニークな方向性を与えてくれたのは、オートバイ仲間でもありスペースデザイナーでもあるK氏でした。K氏は「オートバイを通じて」私の性格をある程度理解してくれています。この「オートバイを通じて」というのがとても大事で、ある意味旧くからの友人とは全く異なる角度から全く異なる深さで理解してくれている、ということなのです。また彼はアーティストとしての私についても一定の水準で理解し、評価してくれました。その上で実に面白いコンセプトを提案してくれたのです。

ムッシュにぴったりのコンセプトありますよ。

私はオートバイ仲間からは「ムッシュ」と呼ばれています。それはおそらく初めて会った時、パリから帰ってきた直後だったからかも知れません。

青騎士。DER BLAUE REITERです。

私は青いBMW RnineTに乗っており、しかもその色に大きなこだわりを持っています。だからこのオートバイを「碧」と名付けているのです。

DER BLAUE REITER(青騎士)

青いバイクのライダーだから、青騎士とはつまり私のことである、とも言えます。その一方で「青騎士」とは美術史の中で一定の位置を占めるグループのことでもあります。詳細はこのWikipediaを参照してください。

青騎士(あおきし、ブラウエ・ライター[1]ドイツ語: der Blaue Reiter)は、1912年ヴァシリー・カンディンスキーフランツ・マルクが創刊した綜合的な芸術年刊誌の名前であり、またミュンヘンにおいて1911年12月に集まった主として表現主義画家たちによる、ゆるやかな結束の芸術家サークルである。日本語では「青騎手」とも訳される。

Wikipedia

カンディンスキーとマルクによる「緩やかな結束の芸術家サークル」それが「青騎士」です。私は先日59歳になりましたからだいぶ大人です。多くの人に共感してもらえると思うのですが、大人になってから友達を作るのはまあまあ大変です。でもオートバイとアートを介して繋がれる友達は不思議と得難い友達になれるように思っています。一人でいることが比較的好きで、孤独を愛し、友達の少ない私ですが、この「アトリエ青騎士」を通じて価値観を共有できる友達が少しでも増えていくことを願っています。

表現主義と浪漫主義

「アトリエ青騎士」は「オートバイを愛しアートを愛する人」をまずはマーケティングで言うところのターゲット、換言すると「コミュニティの構成員あるいは仲間」として考えています。もちろんそれは必要条件ではないので、漠然として「アトリエ青騎士」の世界観、価値観が好きな人には広く開かれていくものです。私が敢えてこのスペースの通奏低音としたいと思っているのは「表現主義」と「浪漫主義」です。

表現主義(ひょうげんしゅぎ)または表現派(ひょうげんは)は、様々な芸術分野(絵画文学、映像、建築など)において、一般に、感情を作品中に反映させて表現する傾向のことを指す。狭い意味の表現主義は、20世紀初頭にドイツにおいて生まれた芸術運動であるドイツ表現主義(またはドイツ表現派)および、その影響を受けて様々に発展した20世紀以降の芸術家やその作品について使われる。これには、抽象表現主義などが含まれる。

ロマン主義(ロマンしゅぎ、: Romanticism、: Romantisme、: Romantik、: Romanticismo、西: Romanticismo、: Romantismo)は、主として18世紀末から19世紀前半にヨーロッパで、その後にヨーロッパの影響を受けた諸地域で起こった精神運動のひとつである。それまでの理性偏重、合理主義などに対し感受性や主観に重きをおいた一連の運動であり、古典主義と対をなす。恋愛賛美、民族意識の高揚、中世への憧憬といった特徴をもち、近代国民国家形成を促進した。その動きは文芸美術音楽演劇などさまざまな芸術分野に及んだ。のちに、その反動として写実主義自然主義などをもたらした。

Wikipedia

少しややこしくなっているので簡略化すると「エモーション」「感受性」に重きを置いていきたいということです。オートバイもアートもここを刺激してくれるものだからです。

atelier for someone

「アトリエ青騎士」のコンセプトは「誰かのためのアトリエ」です。この文章の最初に書いてある通り、またヨーゼフ・ボイスの言葉の通り「全ての人が芸術家だとしたら全ての人に須くアトリエは必要だ」と考えたのです。自分の中の芸術性、創造性を自覚できる人。そんな人にとって他にはない、全く別の刺激を与えてくれる場所、それが「アトリエ青騎士」です。

そもそもなぜそんなことを思ったかと言うと、何か新しいものを創造するには「非日常性」が必要だと考えたからです。リモートワークが一般化した今日、仮に葉山や軽井沢でそれを実現したとしてもすぐにそれは日常になってしまわないでしょうか。素敵なホテルでワーケーションも素晴らしいとは思いますが、それは豪華な日常になってはいないでしょうか。

創造のために必要な時間と空間とは、決して豪華で快適なものだけではないはずです。「アトリエ青騎士」は豪華ではありません。快適ではあると思いますが、不便もあると思います。ただその「不便さ」が重要なのではないかと考えています。オートマチックな現実は私たちから大事な何かを奪っているように思うからです。

「アトリエ青騎士」は不便さを意識し、不便さを楽しむ中から新しい何かを創造しようとする人のための場所にしていきたいと思います。

青騎士フォトギャラリー

まだまだ変化途上ですが、雰囲気をお伝えするために現状の様子を写真でどうぞ。

アトリエ青騎士でできること

「アトリエ青騎士」は40平米弱の広さしかありません。基本的に一人か二人で過ごすことを前提に設計されています。例えばこんなふうに使ってみるのはどうでしょう。

作品を創造するために

文字通りのアーティストのためのアトリエとしての青騎士です。ここに数日籠って何かの作品を創造してはどうでしょう。その間、自分と作品に向き合ってみてはどうでしょう。ここには創造を邪魔するものはとても少ないことが分かるはずです。美味しいコーヒーを淹れることはできます。食事は簡単なものならミニキッチンで作ることができます。気が向けば箱根宮ノ下のレストランまで足を伸ばすこともできます。でも観光を楽しむのではなく、自分の内面を旅するための時間をあなたは求めているのでは?

人と仲良くなるために

誰かと二人、じっくり話してみたくはないですか。そんな人はいませんか。誰かと仲良くなるには食事をご一緒すること。よく言われいている事実であり、一面の真理です。でも食事をするだけになることもあるでしょう。魅力的な食事は少し邪魔なことさえありませんか。アトリエ青騎士でコーヒーを淹れて飲んだり、何か簡単な料理を一緒に作って食べるのはどうでしょうか。いつもはしないことを二人でしながら、ポツリポツリと大事なことを話したりできないでしょうか。

インドアキャンプを楽しむために

キャンプが好きな人はたくさん。でもテントで寝たりするのはちょっと嫌。お風呂やトイレの問題もあるから、インドアで過ごしたい。アトリエ青騎士での時間はちょっとしたインドアキャンプになるでしょう。エアコンも完備、清潔なお風呂もシャワーもトイレもあります。お湯もありますし、ガスコンロもあります。準備さえしてくれば、キャンプ飯を用意することは簡単。少し歩けば日帰り温泉すらあります。インドアキャンプを楽しみながら創造的なことを考えてみてはどうでしょうか。

愛車と過ごすために

愛車のある人生とは素敵なものです。アトリエ青騎士は青いオートバイを愛する人によって作られたスペースです。だからオートバイを愛する人にとっては他に得難い環境であると言えます。全幅が1,000ミリ程度のオートバイであればアトリエの中に入れることができます。眺めてもよし、磨いてもよし、カスタムするもよしです。愛車と自分だけの時間を楽しむ。なんと贅沢な時間と言えましょうか。工具類は通常のものは揃っています。愛車と二人で泊まれるガレージ。アトリエ青騎士のもう一つの側面です。

撮影スタジオとして

アトリエ青騎士の壁はエコ・リバイバル社の佐官、望月さんによるオリジナル漆喰「反射漆喰・恵み」で塗られています。私もお仕事でお手伝いさせて頂いたこちらの漆喰、高機能はもとよりテクスチャも美しく、しかもその落ち着いた白さがとても良いニュアンスを醸し出しています。小さなアトリエですが、比較的小さなものを撮影したり、人物のポートフォリオを撮影したり、そんな使い方ならばとても良いスペースになるのではないかと思います。

料理を楽しむ空間として(Coming soon…)

山の暮らし、森の暮らしといえば思い起こされるのが「薪ストーブ」です。アトリエ青騎士はこれから稼働していきますので、箱根の冬の寒さ、冬の暮らしをイメージできていません。なんとなく漠然と「薪ストーブ」導入を検討しています。それができた暁には、ストーブで温かいビーフシチューやブルゴーニュ風の赤ワイン煮込みを作ったり、自家製の生地でピッツアを焼いたり、新しい楽しみ方が生まれることでしょう。

そのほか、アートのワークショップ、何かの知識を共有するような集まり、お料理教室、ワインを楽しむ会など、色々な使い方ができるのではないかと思います。

会員制アトリエ

「アトリエ青騎士」は会員制で運用していく予定です。オーナーが使わない日程を上述の通り、価値観や美意識を共有する人たちのために開放しようと思うのです。仕組みとしては以下のように考えています。

❶ご興味のある旨をご連絡いただく
❷簡単なウェブ面談
❸会員登録(グループLINE等を想定)
❹空き時間を予約(カレンダー機能)
❺ウェブ決済(クレジットカード)
❻時限付きの暗証番号を送信
❼入退室

「アトリエ青騎士」にあるものは全てシェアして使用することができます。ゴミはお手数ですが、お持ち帰りいただきます。

使用料金はまだ検討中。まずは使ってみたい方にモニター料金でお試し頂こうかなと思っています。ご興味のある方はぜひアトリエ青騎士のインスタグラムからDMにてご連絡ください。


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