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日常を小さな冒険にするひとつの方法。ぼくがマニュアルトランスミッションを愛する理由。

投稿日:2020年9月2日 更新日:

automatic

オートマティックという罠

日常を非日常に変える。もっと言えば日常を冒険に変える。それがこのブログメディアが目指すところです。日常はすごい勢いで流れていきます。だから何も考えていないとぼくたちはどんどん時間の流れに押し流されてしまいます。

あらゆる商品やサービスは日常生活をより快適に、簡単に、効率的に過ごせるように機能します。それはある意味素晴らしいことです。それによって人間が人間らしく生きる余裕ができるのだとすれば。

これらの商品やサービスは、ぼくたちが何も考えなくても、あるいは難しい操作をしなくても、破綻なく何かを成し遂げられるように上手に作られています。そう。ばくたちの周りの環境は限りなくオートマティックなのです。

安全に確実に破綻なく物事を進めてくれるオートマティック。家も家電製品もスマホもクルマも。もはや何もかもがオートマティックです。そう。ぼくたちの日常はオートマティックにできているわけです。でもオートマティックな環境はぼくたちから何かを奪ってはいないでしょうか。

自分でやる楽しさだってある

オートマティックは便利です。もはやクルマはオートマティックが主流。マニュアルトランスミッションのクルマは数えるほどしか売っていません。ぼくは2008年にタイプ997のポルシェカレラのマニュアルトランスミッションをオーダーしました。

でもこの当時でスポーツカーの原型とも言えるポルシェ911ですら、その99%はティプトロニックと呼ばれるオートマティックトランスミッションでした。最近はポルシェ911の最高峰のスポーツモデルであるGT3もPDKというダブルクラッチのオートマティックトランスミッションに変わってしまいました。

とにかく997の世代では、ドイツの製造枠を予約しないとマニュアルのポルシェ911は買えなかったのです。

997mt

自分の手でハイパフォーマンスカーを運転するのは本当に楽しかった。ギアを1速から2速、3速へと上げて、クラッチを繋ぐ。ぼくは8年間、このタイプ997のポルシェ911に乗りましたから、クラッチ操作はいったい何回くらいしたのかな。上手にクラッチが繋げたことはそのうち何%かな。

きっと全然うまく繋げていないはずです。だからこそ、アクセルを少し煽ってクラッチがキレイにミートできたとき、最高に嬉しいのです。

毎回うまくいくかどうかわからないことをうまくやる

これがマニュアルトランスミッションの醍醐味だと思います。

モーターバイクは楽しさに溢れてる

BMW Mottorad / G310R

ポルシェ911に乗った8年間。もう一台はメルセデスを持っていました。Cクラスのステーションワゴンを2台続けて、その前はBクラス。最後はG320を少しだけ。操縦の楽しさに満ちたポルシェと抱き合わせたとき、メルセデスの包容力は真に輝きを放ちます。メルセデスだけだと飽きてしまうんですけどね。

997andG320
Porsche911 type997 and Mercedes G320

でもクルマはやはり一人だけで乗るものではないので、国内旅行などのときに同乗者に無理を強いていた点は申し訳なく思い、快適性・利便性と趣味性のバランスが最もよいBMWに戻りました。

BMW 420i GranCoupe

そこでモーターバイクです。操縦の楽しみはこちらに引き受けてもらい、クルマは少しだけ楽しければいい、そんな考えにぼくは至ったのです。これは別のポストで書いてみようと思いますが、乗物を評価・選択するのは以下の3軸だと思っています。

1軸:実用性(快適性・利便性などの価値)
2軸:趣味性(自己満足などを含む実用以外の価値)
3軸:経済性(トータルの価値をどの程度の経済性で提供しうるか)

ざっくり言うと、クルマは1軸の説明力が強く、モーターバイクは2軸の説明力が強いという感じです。フェラーリなんかも2軸。スーパーカブなんかは1軸、2軸、3軸ともに満たせるという稀有な存在だから大人気なのかも。

ぼくはクルマは1軸を満たすツール、モーターバイクが2軸を楽しみつくすツールと考えているわけです。だからモーターバイクは当然マニュアルトランスミッションが望ましいと思っています。

ロードバイクの楽しさも共通だ

ロードバイクもマニュアルトランスミッションのクルマと同じ楽しさを持っています。ぼくのTREK Emonda SL6はシマノアルテグラのディレイラーが装着されています。フロント2枚、リアは11枚のスプロケットです。このギアを適切に選ぶという楽しさはロードバイクの魅力のひとつです。

Trek_emondasl6
TREK Emonda SL6 MY2017

でももう一つ、とっても楽しいポイントがあるんです。それはビンディングです。

ロードバイクの場合、脚力を推進力に変えるために、シューズをペダルに固定する形式が取られています。これがビンディングのメカニズムです。ここでもシマノがトップシェアですが、ほかにも魅力的なブランドはあります。

ぼくの場合、シューズはフィジーク。クリートはシマノのイエロー。ペダルはシマノのアルテグラです。

↓シューズはこれ。リーズナブルでカッコもいい。お薦め。

↓クリート(シューズとペダルを繋ぐパーツ)はこちら。

↓ペダルはシマノアルテグラ。ぼくのTREK Emonda SL6はオールアルテグラ。

漕ぎ出しのとき、このビンディングがシューズにパキッとハマると、とっても気持ちがいいんです。それはアクセルを煽ってシフトダウンしたときに回転がバッチリあってクラッチが上手にミートできたときと同じような快感です。

毎回うまくいくかわからないことをうまくやる

マニュアルトランスミッションの楽しさの中核と、ロードバイクの漕ぎ出しのビンディングフィットは共通してるわけです。

完璧に出来たら冒険じゃない

ぼくがマニュアルトランスミッションを愛する理由。わかって頂けましたか?ものごとは完璧じゃないんです。うまくいかないこともある。現実は理不尽なものです。でもオートマティックはその現実を覆い隠してしまう。

何事もなく流れていく日常に慣れてしまったら、

やった!こんどは上手く出来たぞ!

という喜びが無くなってしまうじゃないですか。それじゃダメなんだと思うんです。日常の中に不確実なものを孕ませること。それが大事です。うまくいったり、うまくいかなかったりするものをいつも身体感覚でわかっていることが大事だとぼくは思うのです。

毎回完璧にできたら、面白くないし、それじゃあただの日常じゃない?

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