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クルマ好きへの転換点はどこ?これまで乗ってきたクルマを振り返ってみよう。

投稿日:2020年9月6日 更新日:

bmw_420iGC

クルマ遍歴・黎明編

何度か書いているとおり、ぼくはいわゆるスーパーカー世代であり、小学校低学年の頃からクルマへの憧れが半ば洗脳のように刷り込まれています。思えば日本全体も高度経済成長期から成熟期への移行期でした。そうした時代効果のもと、池沢さとし氏による『サーキットの狼』で初めて知ったスーパーカーたちは、こどもの頃のぼくらに容赦なく憧れを植え付けたわけです。

↓下のサムネイル画像がAmazonへのリンクになっています。

もちろんこどもなのでそれがいくらくらいするのか、などはリアリティを持って理解できていません。でも大人になったらぼくだったらこのクルマが欲しい、というなんとなくの好み、嗜好はこの辺りから既に芽生えていたのかもしれません。バイクについての情報が入ってきたのは中学から高校なので、やはりクルマが先だったのは間違いないですね。

高校を卒業した春休みにはクルマの運転免許を取得。大学時代は友人のほぼ大半は下宿暮らしの貧乏学生。ぼくのその一人でした。クルマに乗る機会と言えば、サークルの夏合宿くらい。蓼科や白馬などで行われる夏合宿にどこかから借りて来たクルマで行きましたね。合宿に行くために知人や家族に借りて来たクルマは、いまの思い出しますが、日産のスカイラインラングレーのレノマスペシャル。カッコ悪かったなぁ。

自宅から通っていた学生はアウディかなにかで来ていたりしていました。でもスーパーカー世代のぼくたちにとって、その当時のアウディはまったく魅力に乏しいクルマでした。むしろマツダのRX-7やスバルレガシー、トヨタだとAE86のレビンやトレノ、日産ならフェアレディZやブルーバードのSSSなどがぼくの目には魅力的に映るクルマでした。

クルマ遍歴・胎動編

ぼくが社会人になったのは平成元年。ときはまさにバブルです。そんな空気もあり、新入社員でもクルマを買うのは当たり前な雰囲気。広告代理店で初めて出会ったのはいわゆるボンボン育ちの先輩たちです。なにしろいいクルマに乗ってましたね、彼ら。そんな先輩たちに影響されて、新入社員も結構いいクルマ買ってました。中古のベンツやゴルフが多かったかな。

ぼくも何か買おうかなと思っていたときに、取引先のデザイン会社の社長がクルマをくれたんですよね。タダで。あまり欲しいクルマではなかったのですが、何しろまだクルマを持っていなかったので、練習にはちょうどいいと思い、有難く頂戴しました。

日産パルサー

日産パルサー。3ドアハッチバック。おそらく1984年くらいのモデルではないかと思います。もはやどんなクルマだったかも思い出せない。でもWIKIで見ると、「ああ、こんな感じだったな」と思い起こしました。

日産・パルサー

4ドア セダンからスタート。その後 ハッチバック、 クーペ、 ライトバン が設定された。欧州市場に投入されることを鑑みて開発されたこともありその生涯を一貫してユーロテイストの香る小型車として開発/生産された。 1978年5月 …

WIKIにある写真を張り付けておきます。これの3ドアハッチバックでした。色はこんな感じのクリーム色。まあもらっておいてなんですが、かっこ悪かった。

Nissan_Pulser
日産パルサー

そんな気持ちで乗っていたからか、雪の日に環八から少し入った裏道でスリップして某生命保険会社の独身寮の柵を壊してしまい、ぼくの新入社員の年の悲しい思い出として刻まれております。

トヨタカローラSR(AE71)

その次に乗ったのは、博報堂の同期から5万円で譲ってもらったTOYOTAカローラです。AE71型。角ばったデザインはその当時のぼくの審美眼的には結構アリでした。色は赤。でも塗装は結構褪せていて、朱色みたいになってましたね。このクルマは最初から「伊三郎」という名前が付いていたのでそう呼んでいました。結構好きでした。

↓見た目はこんな感じです。でもぼくが譲ってもらったのはレビンではなく、その下のクラスのSRでしたけどね。色の褪せ具合はこんな具合で、フェンダーミラー仕様も同じ。ちなみにホイールはワタナベレーシングのに変えましたが、今思うと走り屋チックでサラリーマンぽくなかったな。(笑)

TOYOTAカローラレビン(AE71)

博報堂の先輩たちはこの当時はホンダのプレリュードに乗ってる人が多かったかな。F1で常勝だったHONDAはこの当時とても人気がありましたね。あと日産だとシルビアですね。そんな人たちと一緒に色褪せたカローラでドライブしてましたが、全然卑屈に感じたことはなかったですね。やはりクルマは好きなものに乗るのが一番だと思います。

環八の砧公園近くでバッテリーがあがってしまい、公園でランニングしていた体育会の大学生に最寄りのディーラーまで押してもらったりしたことがあります。これもまたなんだか甘酸っぱい思い出です。

クルマ遍歴・覚醒編

AE71は結構乗りました。その後、大学時代の友人(フルート吹き)に譲りました。タダだったかな?忘れちゃった。いくらかも貰ったかも知れませんが。(笑)この後、初めてぼくはちゃんと自分でお金を払ってクルマを買うことになります。この頃のぼくは仕事でもそれなりに市場や消費者の嗜好の分析などをし始めていたので、自分の嗜好と会社の中での位置付けなども考慮して、クルマを選んだことを覚えています。

VW GOLFⅡ

ぼくが選んだのはフォルクスワーゲンのゴルフⅡです。この時代のクルマのいわゆる「メートル原器」のような、モノサシのようなクルマです。まあ、安牌と言っていい選択です。でもこの選択はその後のぼくのクルマ人生に大きな影響を与えることになったのです。第三京浜の港北インター近くにあった、ヤナセの中古車センターで150万円くらいで買いました。1988年式のCLi。5ドアで色はガンメタリック。ホイールは鉄チンです。フロントだけ4眼ヘッドライト仕様に後ほど交換しました。

GOLF2
VW GOLF2

このゴルフⅡ、当時の国産車とは段違いの素晴らしい性能でした。エンジンはSOHCの1.8リッター4気筒だったと思います。ATはなんと3速。高速では110㎞/hを越えるとかなりキツくなる。つまりスペックだけを取り出すと特別立派なものではない。しかしこのクルマの凄みはそこではないのです。

入力に対して出力が伴うときの正確さ

これがこのクルマの素晴らしさです。ステアリングの切れ角とタイヤの角度がまるで見ているかのように分かる。クルマの挙動がほぼ完ぺきに理解できる。そんな体験はここまでのぼくのクルマ遍歴ではありませんでした。よく出来た機械というものはここまで凄みを感じさせてくれるのか。それがぼくがドイツ車に対して抱いた敬意の始まりです。

ゴルフですらこんなにスゴイなんて、
メルセデスとかどんだけスゴイんだろう

その当時のぼくはこんな感じに思っていたのです。ちょうどこの頃、メルセデスベンツはその歴史の中で初の小型車をリリースしました。190Eというモデルです。それまでメルセデスは中型、大型のクルマしか作っていませんでしたし、そうしたノウハウしか持っていませんでした。そのメルセデスが大型車製造で培ったノウハウで作った小型車が190Eです。

当時「小ベンツ」と呼ばれていましたが、オーバークオリティを絵にかいたような素晴らしいクルマだったと思います。先輩たちが結構この190Eに乗っていたのでぼくにとって憧れというほどではなく、割と身近にある高性能でした。ゴルフⅡに乗っていれば、190Eに対してそれほど卑屈にはならないで済みましたし。その意味でもゴルフⅡはいい選択でした。

ゴルフⅡでよく出来た機械に対する敬意が芽生え、また同時にクルマを運転することは良質なフィードバックを得ることだ、と理解したぼくは、クルマとの対話の面白さに目覚めました。するとどうしてもマニュアルトランスミッションのクルマに乗りたくなってきたのです。その当時、マニュアルトランスミッションで乗れる手ごろなスポーツカーと言えばこれしかありませんでした。

ユーノスロードスターSスペシャル

これまた港北ニュータウンのユーノスで、1.6リッターのDOHC4気筒、Sスペシャルのマニュアルトランスミッション車を買いました。これも150万円くらいだったと記憶しています。初期型と同じでリトラクタブルライトでしたね。色は紺。幌も紺。内装は安っぽいプラスティックでしたが、MOMOのステアリングとシフトバーを入れて乗っていましたね。これは実に楽しいクルマでした。自分の手のひらに入るパフォーマンスというのでしょうか。そのときの自分がドライビングスキルを磨くにはピッタリのクルマだったと思います。

このユーノスロードスターには32歳で結婚するまで乗りました。5年くらいかな。このクルマが一番楽しい思い出に溢れているかもしれません。

クルマ遍歴・充実編

結婚した当初文京区に住んでいました。その後、現在の麻布十番界隈に移り住みました。そして会社を辞めて独立。利便性の高いエリアに住んだこともあり、当初はクルマを保有していませんでした。独立起業したビジネスがそれなりに軌道に乗り始め、再びクルマを購入する時が来ました。そのときにぼくが選んだのは、メルセデスベンツのCクラス(W203)でした。

メルセデスベンツCクラス(W203)

麻布十番の鈴木自動車で買いました。今思うとバカですが、「おれもとうとうメルセデスに乗れるようになったか」という感慨はありました。メルセデスCクラスは、たくさん販売することでメルセデスが儲けるために作ったクルマです。その意味でオーバークオリティだった190Eとは思想的に真逆です。でもその頃のぼくにはあまり分かっていなかったんだよな。

一番下のモデルとは言え、メルセデスに乗ってみたかったんでしょう。奥さんや奥さんのお母さん、お父さんを喜ばせたかったという動機もありました。そういう社会的な記号として買ってしまった唯一のクルマかも知れません。まあこれだけ前振りをすれば十分と思いますが、W203型のメルセデスCクラス。まったくダメでした。

C200コンプレッサーというモデルを買ったのですが、2.0リッターエンジンはガサツで煩いのにトルクは薄い。サスペンションは落ち着きがなく、カーブでは踏ん張れず大きくロールします。それにハンドリングも国産車のようにわかりにくい。ゴルフⅡで感嘆したあの正確さはW203にはありませんでした。

しかし驚いたのは下取り価格。3年乗っての査定はかなり高く、残債を大きく上回っていました。なるほどクルマは性能だけじゃないのね、というのを学ばせて頂いたのはこのメルセデスCクラスです。要は需要が十分にあること、そこで適正なプライシングがされていると、セカンダリーマーケットが上手に機能する、ということです。

メルセデスベンツCクラス(S203)

クルマ好きとしては面白いものではありませんでしたが、足と考えれば十分だったのでW203(セダン)から後期型のS203(ステーションワゴン)に乗り換えました。生まれて初めてステーションワゴンというスタイルのクルマに乗りましたが、道具と考えるとこちらの方が優秀でした。奥さんの仕事でモノを運ぶことも多くなり、ここからはステーションワゴンが基本線になっていきます。

メルセデスベンツは同じモデルでも前期型と後期型で大きく改善してきます。そのため後期型は前期型とは比較にならないくらい良くなるのです。このW203からS203後期型のときもそうでした。C230コンプレッサーステーションワゴンは、前期型セダンよりずっと乗りやすく、早く、安定していました。そしてぼくは、

ベンツ買うなら後期型

という鉄則を学んだわけです。このS203ステーションワゴンは割と気に入って数年乗りました。その後、S205のステーションワゴンにも乗りましたね。

メルセデスベンツCクラス(S204)

これも実用的ないいクルマでした。しかし趣味性という軸で見るとぼくの嗜好にはフィットしないんですよ。でもこの後出てくるポルシェと同時に保有すると、極めて満足度が高いのも事実です。

メルセデスベンツCクラスステーションワゴン(S204)

クルマ遍歴・風雲編

さてこのようにまずまずのクルマで落ち着いていたぼく。ところが古い友人によってこの平穏は破られることになります。開業医として成功した高校時代の後輩が結構なクルマ好きで、高級車を数台保有していたのですが、アルピナのB7スーパーチャージが日本に入ってくる際、その1台目を買ったとか。青山のニコルでいろいろ乗せてくれるらしいので、先輩も来ませんか、と今思うと悪魔のようなお誘いをしてくれたわけです。

アルピナなんて勿論乗ったことない。それ以前にBMWに乗ったことがなかったので、ニコルに行く前に一度BMWを経験しておこうと思った訳です。初めて乗ったのはE46型の3シリーズ。320と325、そして318に乗りました。初めて乗ったBMWはメルセデスのCクラスとは比較にならないくらいいいクルマでした。これは正直驚きました。

入社当時のバブル時代、このE46の2世代前のE30は「六本木のカローラ」などと揶揄されていました。それくらいありふれた存在という意味でしたが、カローラに喩えるのは流石に酷い。BMWの3シリーズはやはり傑作です。

E46では、2.0リッターの320iですら、6気筒エンジン。いわゆるシルキー6と呼ばれる名作エンジンを積んでいます。この6気筒はまるで生き物のようなエンジンで、メルセデスCクラスのトラクターのような4気筒とは別物でした。

精密機械的なのに、生き物のよう。さらにハンドリングも精密でありながらヌルヌルとしたフィードバックが印象的でした。

これがBMWか。

この時、ぼくはメルセデスよりもBMWが好きだな、と確信したのです。この頃、初期型のアウディTTクーペにも別で試乗しました。このクルマは、こどものお絵かきのような円弧で構成された画期的なデザインが魅力です。でも初期型の中身はゴルフⅣです。

もちろんゴルフは素晴らしいプラットフォームですから悪い訳はありません。でもその頃のぼくには欲しいけど、どちらかと言えばBMWの方が嗜好に合っているかな、くらいの印象でした。

実はこのBMWの試乗がぼくにとって転機となります。ニコルでのアルピナ試乗のとき、実は到底買えないアルピナではなく、手の届きそうな普通のBMW、それも6気筒で最も大きな3.0リッターのエンジンを積んだ3シリーズの最高峰、330Ciが気になり始めていたのです。

BMW 330Ci(E46)

その後のぼくはBMWが欲しい、それも2枚ドアのクーペがいい、できれば3.0リッターの330Ciが欲しいと考えていました。でも普段の仕事ではCクラスステーションワゴンで何の問題もありません。しかしそうこうしているうちにE46の世代もE90への代替わりが見えてきたのです。自動車雑誌などで見ると、次世代のデザインが今ひとつピンときません。

E46でクーペを買うならそろそろ動かなくちゃな、なんて思いつつ、高輪のBMWのディーラーを訪れると330Ciはもう完売とのこと。ガッカリしていると、1台だけ見つかったのです。E46は少し大きめのホイールを履いたMスポーツパッケージが主力でしたが、残っていたのは特別仕様車で、今ひとつわかりにくい仕様のものでした。だから残っていたのかも知れません。これは何かの縁だろうとこのE46型の330Ciを購入しました。

E46_330ci
BMW 330Ci(E46)

こちらを自分の専用車にして、それまでメインで使っていたCクラスをBクラスに入れ替えてコストダウンしました。ちょうど奥様のビジネスも拡大しており、スタッフも運転する必要が出てきたためです。まあぼくにとっては渡りに船とばかり、BMWのクーペに乗り換えた訳です。

このBMWのシルキー6は最高に気持ちのいいクルマでした。都内で扱いやすい大きさ。しかし232馬力の6気筒エンジンは実にパワフル。そして前述のようにまるで息をしているような吸気音がするのです。エンジン音、そして匂い、触感。これらがぼくにはしっくりきたのですよね。

いつも「なんか違うんだよな」と思い続けていたメルセデスよりも、BMWの方がぼくの感性にフィットしていることは間違いない事実でした。BMW330Ciはいわばスポーツカーに近いクルマでした。0〜100km/hまでの加速はカタログデータで6.5秒。今聞くと「割と遅いね」という感じです。でもその当時はこれでも俊足だったんですよ。

スポーツカー的なクルマに乗って、だんだん運転が楽しくなってくると、マニュアルトランスミッションの車に乗りたくてたまらなくなってきました。こんな素晴らしいエンジン、マニュアルで乗ったら楽しいだろうなぁ、なんて、いつも思う訳です。そしてBMWのラインナップにはマニュアルのクルマがない。仕方ないな、と思った時、ぼくの目に入ってきたのがポルシェなのです。

クルマ遍歴・飛翔編

ポルシェ911カレラ(タイプ997)

この時はもはやマニュアルトランスミッションのクルマが欲しいというのがメインテーマでした。BMWにはその当時マニュアルのクルマは無く、しかも3シリーズクーペの最高峰から次に行くとするとポルシェしか選択肢はなかったのです。

とは言え自動車界のレジェンド、911を買おうとはその時夢にも思っていませんでした。価格的には911の下にある、ミッドシップのクーペ、ケイマンがぼくのターゲットでした。2005年後半にはポルシェセンター目黒に初めて赴いて、ケイマンの試乗をさせてもらいました。初めてのポルシェ、興奮しましたが、乗ってみたらどうということはなく。

営業さんが911も乗ってみますか?とおっしゃるので、記念に乗ってみよう、くらいの気持ちで乗ってみた訳です。するとケイマンとは別物の濃厚な世界がそこにはありました。

911はRRという形式です。リアにエンジンがあり、後輪を駆動する、というのがRRです。水平対抗の6気筒エンジンという重量物をそのまま後輪のトルクに変換するのがRRの妙。このトルク感は実に独特で他のどのクルマとも違います。

しかもマニュアルトランスミッションはケイマンはVW製の5速。911は日本が誇るデンソー製の6速。気持ち良さも段違いなんです。これにぼくはやられてしまいました。単にマニュアルトランスミッションのクルマが欲しかっただけなのに、ぼくはまじめにどうやったら911が買えるかな、と考え始めていたのです。

2008年4月21日。タイプ997のポルシェ911が納車されました。実は奥様には内緒で買ってしまったのです。

Porsche911
Porsche911Carrera(type997)

返してらっしゃい!

これが奥様の第一声。そして第二声はこれ。

こんなウルトラマンみたいなクルマ買って!

ぼくの911カレラはメテオグレーメタリックという色でした。そして内装はカレラレッド。確かにウルトラマンぽかったかもしれません。

こんな感じでぼくはポルシェ911カレラのマニュアルトランスミッションにこの後8年間乗ることになります。人生の中で、最も愛したクルマでした。本当に楽しかったし、このクルマは様々なことをぼくに教えてくれました。

人間が作るものが到達できる高さ、その境地を教えてもらいました。本当の逸品、傑作とされる工業製品の凄さも教えてもらいました。何よりぼくがこんなにクルマとクルマの運転が好きなのだ、ということを自覚させてもらいました。ポルシェ911カレラ、ありがとう。カレラの印象については過去に書いているので、ぜひそのポストを参照してください。

クルマ遍歴・帰郷編

ポルシェ911カレラとの8年間は幸せでした。でもその一方で、同乗者に負担を強いていたのも事実です。マニュアルトランスミッションのスポーツカーは、操縦している人には最高ですが、同乗している人に最高とは言えません。しかも、シフトチェンジもクラッチミートもうまくいかないし。8年乗って、ぼくはある程度スポーツカーに満足していたので、ここらで奥様にも快適なクルマに変えようかなと思い始めました。

実はこの間に短期間ではありますが、G320に乗ったのです。ポルシェ911カレラとメルセデスのG320という布陣は、自動車好きにとって「ほぼ上がり」の様相を呈しています。そしてこの2台をガレージに並べた時、ぼくは満足感よりはこう思ったのです。

そろそろこの方針やめよかな

そう思ったの理由の一つは、ぼくは2台の愛車を同時に愛せる性格ではないということです。ポルシェ911とゲレンデという名車を2台乗り分けるほど、ぼくの器は大きくなかった訳です。

porsche911_and_G320
porsche911&Mercedes G320

そう思ってからのぼくの行動は早かったと思います。911とゲレンデを一気に手放して、もっと気楽で快適な1台にまとめようと思いました。いわば、クルマにおける断捨離です。

そしてぼくが選んだのは、再びBMWでした。

BMW 420i グランクーペ

F36と呼ばれるジェネレーションです。ぼくが初めて購入したBMWであるE46よりも2世代若い世代です。グランクーペというのは2ドアクーペをそのフォルムを大きく変えないで4ドアにしたモデル。しかもハッチバックなので、ステーションワゴン並みとは言えませんが、荷物の積載はかなり大量に可能です。

このグランクーペ、実にバランスの良いクルマです。3シリーズよりはトレッドが拡大されて、スポーツ寄りに振られています。そして車高も少し落とされて、スポーティ。しかし快適性も実用性も少しも損なわれていない。何の気なしに選んだのですが、今のぼくのクルマニーズには完璧に答えてくれています。

  • ちょっとカッコいいクルマ
  • 快適なクルマ
  • それほど高級でないクルマ
  • それほど趣味性の高くないクルマ
  • ロードバイクは運べるクルマ
  • そこそこの積載性のあるクルマ

これらのニーズをほぼ完璧に満たしてくれるのは、このBMW 420iグランクーペしかない、というくらいに気に入っています。

当初はエストリルブルーの外装色に、アイボリーの内装色のクルマを購入しました。爽やかでいいクルマでした。

BMW_420iGC
BMW 420i GranCoupe

3年後、ブラックのサファイアの同じグランクーペ(後期型)に乗り換えて今日に至ります。上述した「ベンツ買うなら後期型」の鉄則はBMWにも当てはまります。このF36後期型の420iグランクーペ、非常によく出来ていて、個人的に内燃機関を搭載したクルマはもうこれが最後でいいかな、とさえ思っています。

BMW_420iGC
BMW 420i GranCoupe

BMWのしかも4シリーズグランクーペの魅力はそのバランスの高さです。ぼくがクルマに求めるのは、

①実用性
②趣味性
③経済性

の3軸のうち、特に①の実用性です。だから別にもはやBMWでなくてもいい。しかし②の趣味性がゼロも寂しい。そんなぼくの思いを上手に掬い上げてくれるのが、BMWの4シリーズグランクーペなのです。

クルマ遍歴・最終章はバイク編へ続く

という感じで、これまでで最長じゃないかしらん、この記事の長さ。ぼくのクルマ遍歴はBMWの4シリーズグランクーペで一旦打ち切りになりそうな予感です。もしかするとこの後EV編とかあるかもしれませんが、それはあくまでも実用性と経済性の追求となります。これからの趣味性の追求、言い換えれば「ロマンの追求」となります。このアクションはクルマではなくバイクによって果たしていくことになるでしょう。

55歳のオヤジの冒険。ひとまずはBMW G310Rという相棒を得て始まります。これからどんな旅が始まるのか、乞うご期待。

長編のクルマ遍歴を読んで頂き、ありがとうございました。

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