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愛着をデザインするとは?FUJIFILM X-A7が愛せる訳を考える。

投稿日:2020年11月7日 更新日:

デザインは難しい

カメラ、スマホ、バイク、クルマ、その他もろもろ。好きなデザイン、嫌いなデザイン。愛着の持てるデザイン。持てないデザイン。とかくデザインは難しい。ぼくはデザイナーではありませんが、デザインについての造詣はそれなりにあります。

長年ミラノのデザインウィークを取材して、デザインについてのケーススタディをしたり、よいデザインとは何か、についてそれをできる限り要素還元的な手法で再現することを目指したりしてきました。

日本ではデザインとは「意匠」の意味合いが強いのですが、特にデザインが学問的に扱われている欧州の場合、その意味合いは「技術」に近いものです。つまりデザインとは何等かの課題を解決する手段である、と考えた方が正解に近いわけです。

形態は機能に従う

これはバウハウスの黄金律。デザインは機能、つまり何らかの課題を解決する、あるいは課題をこなすために存在するべき、というのがこの言葉の意味であり、それが世界で言うところのデザインなのです。

ぼくが好きなブランドは次のようなもの。

アップル、BMW、ハスクバーナ、ポルシェ、IWC、パネライ

あまり好きではないブランドはこんな感じ。

サムスン、メルセデス、アウディ、SONY

あくまでも何らかの機能をどんな形態に落としこむか、という観点で見た時の好き嫌いです。別の観点からは割と好きな面もあります。

この好きなブランドに、つい最近、富士フイルムが加わりました。X-A7を購入して富士フイルムの世界に入った訳ですが、このXシリーズのボトム商品ですら、かなりの愛着を感じさせるのです。SONYのRX100M2には感じないのに。

いったいぜんたい、この愛着はどこから来るのでしょうか。

愛着をデザインする、という考え方

思えば、BMWのデザインが攻撃的だったとき、それはE60の5シリーズなどに顕著ですが、デザイナーはクリス・バングルでしたね。

クリス・バングル

クリストファー・エドワード・バングル( Christopher Edward Bangle、 1956年 10月14日 – )はアメリカ人の自動車デザイナーである。元 BMW グループのチーフ・デザイナー(執行役員も兼任)としてよく知られる。 1981年、カリフォルニアのデザイン大学院であるアートセンター・カレッジ・オブ・デザインを卒業。 オペルを経て …

クリス・バングルは2001年にE65/E66の7シリーズを手掛け、続いてE60/E61の5シリーズなど、賛否両論を巻き起こしました。彼のデザインが好きかと言われれば正直微妙です。その当時、ぼくはBMWではなく、メルセデスかポルシェを選んでいましたから。

でもクリス・バングルの言葉は印象に残っています。

私はクルマではなく、ユーザーからの愛着をデザインしているのだ

という言葉です。結果はともかく、この考え方は新鮮だと思いますし、これが正解だとも思います。ユーザーが「BMWらしさ」として愛せる特徴を創り上げていくのが彼の考えるデザインだったのでしょう。この考え方は好きですね。

X-A7のデザイン

その観点でX-A7を見てみると、もちろん価格相応のチープさはあるものの、ユーザーの愛着をデザインしようとしているのではと思うポイントがいくつかあります。もちろん機能も優れていて、使いやすいものです。

ロゴタイプ

スイッチ類の質感とクリック感

手触り

重さ(質量)と大きさのバランス

富士フイルムのデザイナーはかなりいい仕事をしていると思います。インダストリアルデザイン、特に精密機器のデザインはエンジニアリングの成果を「外形で包む」のがデザインの役割になることが多く、その場合は成功は少ないと思います。エンジニアリングとデザインが同時に発案されるような動きができて初めて、優れた製品が誕生します。

ダイソンはエンジニアとデザイナーが職能として統合されています。ぼくがデザインの刷新プロジェクトに関与したことがある、空調機器メーカーのダイキンはデザイナーとエンジニアを同じフロアに置くことでその役割が統合されることを促していました。

詳しくはわかりませんが、おそらく富士フイルムの場合、このエンジニアリングとデザイニングが上手にオーバーラップできているのだと思います。予約したX-S10はそれにさらにマーケティングの巧さがトッピングされている気がしますね。

いま、富士フイルムはかなり波に乗っているのではないでしょうか。これからも新しい製品やサービスに期待が出来そうですね。

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