先輩からのメッセージ
昨日は1日で170キロほど走りました。大磯の往復で約120キロ。残り50キロはワインディングなどです。東京都心にはいまのぼくにとって走りの練習になるような道は少ないので、クルマの少ない大磯のワインディングは素晴らしい練習場でした。50キロでもいろいろなことを学びました。でもすぐできるようになるかと言われればそれはムリなわけで。
ただバイクのライディングは天才を除けば「まずはオートバイという乗物の物理的な特性を理解すること」が極めて重要であることがわかったのは収穫でした。2輪の乗物の特性は4輪とは大きく異なります。まずはそこをしっかり理解することが大事。教習所でも「オートバイという乗り物」についての講義をしっかりすればいいのにな。
170キロのライドで疲れ果てていたぼくのところに、先輩からメッセージが届いていました。それを読んで、バイクライディングはサイエンスだなと改めて思ったのです。こんなメッセージです。
昨日はお疲れ様でした! 昨日のタンデム・ライドの深い反省もあってあれから色々考えてみたのですが、時間をかけないと伝える事ができないものがあります。でもそんなものを削ぎ落として一番のエッセンスは何かなと突き詰めると「腰の位置をコントロールしての重心移動」に尽きるのではないかとの結論に辿り着きました。グリップ握る指の力の入れ方やステップに乗せるのは母指球の部分とかコーナーでは外側の脚の内腿やスネや足でバイクを押さえて支える、とかそんなものは全て腰の位置を移動するための支点として機能していると考えると良いと思います。横の動き(ロール軸)は遠心力に対応してバイクを傾けるため、縦の動き(ピッチ軸)は加減速でタイヤに荷重抜重をするため。普段もそんな事を念頭に置いてライディングされてみてはいかがでしょうか。お節介だとは思いましたが何かヒントになればと。大変失礼致しました。
Y先輩からのメッセージ
ブレーキとスロットルのタイミング、バイクを傾けるタイミングなどを教えるために、タンデムライドをしてもらったのですが、
そりゃもうめっちゃ怖かった
です。
絶対転ぶと思うくらいの傾きに感じましたね。マジで。コーナーの手前で減速して、バイクを寝かせると旋回、スロットルを開けるとバイクが起きて、加速しながらコーナーを脱出。文章で書くとこれだけなのですが、いまのぼくにはこれがうまくできる気がしない。(笑)
こんなぼくに、まだいろいろと教えてくれようする、Y先輩に感謝です。
腰の位置をコントロールしての重心移動
なるほど。
スロットルやブレーキを軽く握る指、ステップに乗せる母指球はすべて腰の位置決めるための「支点」と考えるか。
なるほど。
横の動き(ロール軸)でバイクを傾ける
縦の動き(ピッチ軸)でタイヤを加重抜重する
なるほど。
モーターバイクとロードバイクの違い
同じ2輪だということもあり、何となくぼんやりと共通項を意識していたぼく。でも明確な違いもあるよ、とY先輩は教えてくれました。
あとね、自転車との大きな違いは自転車はペダル漕ぐ力をいれるために腕や上半身の力を使ってハンドルを思いっきり握って身体の力をペダルに押し込みますが、エンジンがあるバイクは逆にハンドル握る手や上半身は力を抜いて腰でコントロールする感じ、があると思います。
Y先輩からのメッセージ
これもよくわかる。
ロードバイクも手から力を抜くことが重要ですが、一方でペダリングする際にはハンドルを引き付ける動作があることも事実。
バイクは基本的に駆動力を得るために腕は使わないわけで、ロードバイク以上に腰が重要だということですよね。
ニーグリップが大事
というのは教習所でもさんざん言われることですが、その背景にあることを深く理解しないとなかなか腑に落ちないものかも知れないと思います。
バイクは腰で乗る
まずはこれをアタマに入れなくちゃいけませんね。この辺りはジェットスキーとはかなり違います。ジェットスキーはハンドルを動かして、ジェットの排出方向をコントロールしないと曲がれませんからね。
面白いな。乗物ってその構造を理解しないと操縦できないんだから。
補足:腰の位置の移動、って書いたけど、普段の街乗りではシート上の位置は移動しなくて、腰の前後左右のどの部分に重心を移動させるかを意識すると良い、という話で理解して頂けると良いと思います。色々試して楽しんでください
Y先輩からのメッセージ
街乗りでは腰の位置は動かさず、重心の移動を意識させて乗る
なるほど。やってみよう。
ライディングサイエンスを理解する
この1日だけで、バイクライディングが如何に論理的なものか、バイクに乗るのが上手くなるということは、
論理に基づいてカラダを動かしてそのフィードバックを得ていく
プロセスなのだなと深く理解しました。これはぼくに向いている。そういえば以前のポストで紹介した、花村萬月の『自由に至る旅』という書籍の中でも、こんな記述があったことを思い出します。
面白いもので、オートバイに対する向き不向きは、日常的にいわれる運動神経とはややべつの要素があるようです。(中略)それとなによりもオートバイは頭が悪いとだめなんです。すごく知性を必要とする乗り物ですね。多少運動神経が鈍くても頭のよい者はカバーできてしまう。
花村萬月『自由に至る旅』
このポストを書いたとき、ぼくは「オートバイに乗ること」の「哲学的」「思想的」側面を意識していたのですが、実はこれは「オートバイを操縦すること」についても述べていたのかも知れませんね。
Y先輩には無論これからもいろいろと教えてもらうつもりですが、その前にこうしたライディングの理論についてもう少し体系的に学びたいと思い、とりあえずAmazonを検索。こんなのがあったので早速購入。
キンドルで200円くらい。安い。チラチラ見てみると、ひとまずぼくが欲しかった情報が載っているっぽい。特にこの4ページは目から鱗でした。まずはここから理解したい。アタマだけではなく身体感覚でね。
どうしてバイクは曲がるのか?
01:バンク角の深さと曲がる力は比例しない
02:後輪の傾きに前輪が追従してバランスをとる
03:タイヤの断面が丸いから傾いた方向に旋回する
04:ラジアルタイヤは荷重で凹むと安定する
05:ロール軸をイメージするとバイクの動きに馴染みやすい
06:スロットルを開けるとタイヤが路面に押し付けられる
07:トラクションが強まればグリップと方向安定性が増す
08:旋回中の前輪は後輪よりも外側を回っている
09:エンジン形式の違いによって曲がる性能も変化する
10:様々なスペックが曲がる力に影響し合う
この10の見出しは素晴らしくぼくを引き付け、ぼくのバイクについての理解を上書きしてくれそうです。
後輪で旋回する
これがバイクの特性ですよね。それってポルシェ911とも共通するよな。ポルシェ911の虜になる人はよく911のことをバイクのようなクルマと表現するけれど、それは道理だったわけです。
まずは「後輪で旋回する」ための理論を身体感覚に落とし込む作業を始めていければと思っています。オートバイという乗物は知的好奇心を刺激してきますね。ワクワクするな。