POLYPHONY of my life

野良猫教授の華麗なる日常

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『魂の殺人』~愛されていなくとも生きていける~

投稿日:2015年11月10日 更新日:

織田信長が桶狭間の合戦の前に舞ったという「敦盛」の中に「人間五十年化天のうちを比ぶれば夢幻の如くなり」という言葉がある。16世紀の日本では人の一生は50年だった。ぼくは最近その歳を越えているからずいぶん大人になったものだ。でも50年もの長きに亘って、ぼくは何もわかっていなかったということが今年わかった。4月に父が死んで露わになったのだが、親兄弟からぼくは除け者にされていたようだった。ぼくの意見はことごとく否定され、家族の誰も言うことを聞かないということがよくわかった。ぼくは一応長男だったのだが、誰からも大切にされていなかったことを知った。実は妻は以前からそのことを僕に知らせていたのだけれど、生来の暢気さ、いわゆる空気が読めないという性格もあり、そのことがぼくの腹に落ちてはいなかったのだ。

ぼくは親に一定の感謝をしていた。決して裕福ではない家庭だったが、教育を与えてくれた。浪人もさせてくれたし、結果、大学を出て就職をすることもできた。自分でも頑張ったつもりだが、親の支えがあったことも事実だし、そうした感謝の念がきっと親への愛情なのだろうと思っていた。そしてそんな風に愛情を持っている自分に対して、きっと家族も何等かの愛情を感じているはずだ。ぼくはそう思っていた。いやそう信じていたのだ。しかし実はぼくは家族の中で疎んじられ、バカにされる存在だったのだ。4月からわずか1カ月で僕は家族と絶縁し、文字通り天涯孤独ひとりになった。兄弟(おそらく母親も)は父の葬式をぼくに知らせることはなかった。妻の両親に葬儀は親族のみで執り行ったという手紙が来たというが、ぼくは見ていない。僕は母親についても、兄弟についてももはや何の感情もない。父の死についてもまるで悲しいとは思わない。完全に無だ。しかし血のつながりという事実がぼくを苦しめる。

このことを自覚してから初めて、ぼくは「毒親」という言葉を知った。子どもにとって毒となる親。そこに悪意がなかったとしてもそうした結果を招き得る。親になるということは大変な責任を伴うのだ。ぼくと妻の間にはこどもはいない。長い間なぜだかはわからなかったのだが、ぼくは子どもを持つことが恐ろしくどうしてもそうした未来を描くことができなかった。そして50歳を過ぎてからその理由を悟ったのだ。大人になって、しかも50歳を越えてこうした現実と感情に向かい合うのは結構厳しい体験だった。そのときに出会った本をここに紹介しておこうと思う。救いがない、ということこそが救いになる場合もあるのだから。

もちろんぼくはひとりでこの世界に存在したわけではない。それは確かだ。しかしそれだけである。ぼくは本来自分が大好きな人間だ。しかしいま、ぼくは自分のルーツにある種の呪いをかけられてしまった気がしている。結構好きだった自分の名前すら嫌いになったのだ。気にする必要はないと妻は言ってくれるが、まだその嫌な感情を払拭できていない自分がいる。わが家の猫さんたちはそんな思いが少しでもわかるのだろうか。

いやきっとわからないだろう。猫さんたちはもはや親の顔なんか知らないし、自分がどんなルーツかなんか、まったく気にしないはずだ。猫さんたちにあるのは、厳しくも楽しい「いま」だけのはずだ。であれば、ぼくもただ猫さんたちのように、美味しいゴハンや楽しい遊びなど、ただ好きなモノゴトだけを追い求めて生きて行こうと思う。書くことで感情を捨てていくことができる。ほら、やはり、ブログを書き始めてよかった。

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