美しさと同時に春雨や花冷えが漏れなくついてくる「桜の季節」が終わり、春爛漫という天気になってきましたね。そうなると着るものも薄くなり、足元も軽くしたくなってきませんか。冬の間履いていた、ゴツメのハイカットスニーカーやブーツを白スニーカーに変えたくなりませんか。ぼくもその一人。先日、普段使いの白スニを買い直しました。ぼくの推しはオニツカタイガーの「ローンシップ」です。
オヤジにも白スニは欠かせない
野良猫教授こと私も58歳のオヤジ。以前はスーツもサルトリアできちんと採寸して作っており、足元には、マグナーニやサントーニ、ベルルッティのドレスシューズで決めていた時期もありました。でも月日は流れ、さらにこの新型コロナのパンデミックを経て、すっかり着るものは変わってしまいましたよね。オーダーメイドのスーツにネクタイ、革靴なんて格好したのは一体いつのことだろう?
もちろんジャケットを羽織ることは少なくありませんが、その際もコットンやナイロンの着やすさ重視のセットアップなんかが主流。よくあるぼくの春夏のコーディネートはこんな感じ。
- チノとネイビーのカジュアルジャケット、インナーは白のカットソー
- ネイビーやカーキなどのコットンやコットンリネンのセットアップ、インナーは白のカットソー
- ブラックのナイロンのセットアップ、インナーは白のカットソー
となるとその足元に最もハマるのは白スニということになります。
厳密にいうとブラックのカジュアルスーツの場合、ぼくは「銀スニ」を合わせる方が好きなのですが、まあ大まかに言うと、
ジャケットと白スニを合わせる
のが、春夏の基本スタイルということになります。
白スニの魅力とは
なぜ白スニを履くべきなのか。ごちゃごちゃ言わずに履けばいいわけですが、何事にも言葉で挑む、というのが野良猫教授の基本スタンスなので悪しからず。(笑)野良マーケターとして白スニの提供価値を考えてみましたよ。
白スニの機能的価値
靴、シューズ、スポーツシューズ、といったカテゴリーに求められる機能性としては、以下のようなものがあるかと思います。
- 軽さ
- 履きやすさ(動きやすさ)
- 耐久性
- デザイン性
これらはスニーカーというプロダクトの中核的価値を形作る要素と言えます。ですが、別の言い方をするとオヤジのファッションにおいて白スニが選ばれる核心はここではありません。単なるシューズではなく、ファッションの一部としての白スニにはそれに相応しい機能性評価軸が生まれるのです。
それは「抜け感」の演出。「抜け感」って何よ、いかにも業界用語っぽい怪しさがありますよね。「抜け感」というのは「いい感じにカジュアルダウンされている」時に使う、ファッションもしくは雑誌業界用語です。つまり、
白スニはいい感じのカジュアルダウンを可能にする
ということがまず最初に機能的価値として指摘されなくてはならないわけです。
ここで重要になるのは「いい感じの」というところです。単なるカジュアルダウンではなく、それが「いい感じ」つまり「いい塩梅」に収まらなくては意味がない。それを可能にするのが白スニなのです。では白スニならなんでもいいのか。それはもちろん違います。「いい感じのカジュアルダウン」を可能にする白スニには条件があるのです。後述します。
白スニの情緒的価値
機能的価値の上段には情緒的価値があります。一般にプロダクトの複雑性が上がるに連れて、機能的価値は複雑になり、プロダクトの嗜好性が上がるに連れてその情緒的価値は重要になります。尚、情緒的価値の上段には自己表現的価値があり、自動車、家、スーツ、高級時計、ジュエリー、などのマーケティングにおいて最も重要なのはここになります。つまり今日的ブランディングにおける競争のフィールドとも言えますね。
機能的な差異化が難しい場合には、情緒的価値や自己表現的価値が重要になります。例えば、飲料水や飲料などは情緒的価値、「飲んだ時にどんな気分になれるか」の勝負だったりします。
白スニのケースもこれに近いと言えますね。白いスニーカーがもたらすファッションにおける機能性「抜け感」は情緒にも影響を与えます。
白スニは気持ちを爽やかに、晴れやかにする
これが情緒的価値です。
基本的に白スニは上記の2つの価値を提供できなければいけません。そしてその実現におけるある種の「純度」が勝負を決めるわけです。
ぼくのイチオシ=オニツカタイガー「ローンシップ3.0」
結論から言うと、オヤジが選ぶべき白スニはこれ。
オニツカタイガーのローンシップ3.0
です。
↑のサムネイルがAmazonへのリンクになっています。
白スニが持つべき価値は、「いい感じのカジュアルダウンを可能にする」と「気持ちを爽やかに、晴れやかにする」です。そしてその「純度」が高いほど白スニとして優れていることになります。さらに言うとその「純度」を適切なプライスで提供できていることが望ましい。ただプライスは買う人のお財布事情によって変化してしまうので、サブ的な要素と考えることにします。
提供価値の「純度」を上げる要素としてぼくが重視したいのは「シンプルさ」です。可能な限りシンプルなものがいい。それはデザイン的にもそうですが、情報戦略的にも、です。
そしてそのバランスが最もいいのが、上記のオニツカタイガー、ローンシップ3.0なのです。
シンプルなデザイン
オニツカタイガー「ローンシップ3.0」の最大の魅力はこのシンプルさです。デザインのためのデザインがほとんどない。
Form follows function.(形態は機能に従う)
はバウハウスの基本理念ですが、このローンシップもまさにそうした完成されたフォルムを持ったマスターピースの一つだと思います。
前回購入した時と比較して、トゥ側のフォルムは少しシュッとしており、店員さんの説明でもそうでした。だからサイズも一つ上がりました。
全体のフォルム、ソール、空気穴、紐、紐のホールなどなど多くの要素が極めてアンダーステートメントであること。余計なデザインがないこと。これが「純度」を高め、さらに爽やかさ、晴れやかさという情緒的価値を強化しているのです。
ブランドとして寡黙
これは個人的な価値観かもしれません。ブランドというものは基本的に饒舌になります。そのブランドの価値(機能、品質、歴史、実績その他)をユーザーに伝えてくるわけです。だから有名ブランド、高級ブランドのプロダクトほど饒舌です。そのことが価値だと思える人にはいいのですが、ぼくのような「静かな状態」を望む者にとっては饒舌なプロダクトとの付き合いは面倒なのです。
その点でオニツカタイガー「ローンシップ」は実に寡黙です。余計なことを話かけてきません。それはぼくにとって極めて重要なことなのです。
クラシカルなテニスシューズ的フォルム
フォルムについては好き好きあるでしょう。個人的に昨今の高機能ランニングシューズのデザインは好きではありません。何しろゴテゴテしている。それにランニングシューズのフォルムはファッションとしての収まりが悪いと思うのですよね。ローンシップ3.0のようにソールがしっかりしたフラットな形状で、しかもボトムが最も太いフォルムがファッションにまとまりを作ってくれると思います。このサイトもバランスについて詳しく書いてくれていますよ。
次もローンシップで行くぞ
上記のような理由でオニツカタイガー「ローンシップ」を買い始めたぼく。白は今回買ったもので3足目。これ以外にシルバーは2足目。なので都合5足を継続的に使用しています。その間、コンバース、パトリック、アディダスなどに手を出しましたが、やはりオニツカタイガー「ローンシップ」が最も自分のセンスにフィットした白スニなのです。
↑この「銀スニ」も愛用中。こちらは「白スニ」よりもヤレが目立たなくていいですよ。
革(一部合皮らしいですが)の柔らかさはアディダスのスタンスミスよりもいいと思いますし、履き込んで草臥れて来ても、コンバースよりはマシに見える気がします。
柔らかさと軽量さが相まって極めて気持ちの良い履き心地を作り出しています。ただソールは踵側がやや弱く、ぼくの場合、経年劣化はほぼここから浸水(↓)という形で始まります。
もう少し耐久性が高ければなと思うところもありますが、ソールが破綻する頃にはトップのそれなりにヤレてきて、少々貧乏くさくなっていることかと思います。履き慣れた靴はついそのまま履きたくなりますが、ここは思い切って次の世代にバトンタッチするのが吉と考えましょう。
今回、六本木ヒルズのオニツカタイガーのショップで買い替えしました。価格は昨今の為替にも関わらず、以前と同じ、税込¥13,200でした。高過ぎず、安過ぎず、良心的なプライスだと思います。
ということで、50代オヤジの白スニ。
ぼくと同じく、とにかくシンプルなものが好き、という方にはオニツカタイガー「ローンシップ3.0」ガチでオススメさせていただきます。