人間の能力の拡張
バイクに乗ることは人間の能力の拡張である。バイクに乗ることで、人間は生身の時よりもずっと速く移動することができる。つまり、自身の能力が拡張した気持ちを味わえるのである。
これはクルマについても同じだ。自動車に乗ることで、人は自身の能力が拡張したような錯覚を得る。生身の自分よりもずっとすごい自分になった、という錯覚。それが「煽り運転」などに繋がる要因だ。つまり、車に乗るということは、ある種の全能感をドライバーにもたらすのだ。
全能感。悪く言えば、神のような感覚だ。小さな車一台一台に、神が乗っているわけだ。全能の神だから、色々な不都合が許せなくなるわけだ。全能感がある種の奢りを生み、それが「煽り運転」などの暴挙につながる。
車という神器を得た人間は、平たく言えばちょっと狂うのだ。
バイクが与える感覚について
オートバイは車と少し違う。先述の通り、これもまた人間の能力の拡張であることは間違いない。しかし少し違う。なぜなら、オートバイに乗っている自分は、生身の人間では不可能なスピードで走ることができるのだが、自分は生身の人間であることが強く自覚できるから、である。
生身の自分では出せないスピードで移動する生身の自分
これがオートバイに乗る普通の人間の感覚である。車に乗るとき、人間はこの「生身の人間」の感覚がある程度失われている気がする。しかし、オートバイに乗る時、ぼくたちは生身の人間であることを忘れることはできないのだ。
ハイスピードで移動しつつ、もしもここで後輪のグリップが失われたら、生身の自分が路面に叩きつけられる。そのリアリティをオートバイに乗る人間は忘れることができない。
これは取りも直さず、弱者としての自分を認識する、ということだと思う。車に乗ることは、人を「強者としての自分」にするのだと思う。しかし、オートバイは「強者であり、弱者である自分」を認識させてくれるのだ。
弱者としての自分
オートバイに乗る自分は強者であり、弱者である。
これがリアルな感覚だと思う。力を与えられつつ、しかし何かの拍子で脆くも崩れ去る生。それがオートバイが与えてくれる感覚だ。
自分は弱者である
そうリアルに思えることはそうそうない。それが与えられるのがオートバイに乗る時なのである。
弱者としての自分を感じることは、極めて重要だと思う。自分が弱者である、と思えて初めて、他者への思いやりが生じるからである。
別の言い方をしよう。
つまり弱者としての自分とは、何かの拍子に死んでしまう自分である。オートバイはすぐ近くに「死」がある乗り物である。愚かな行為をすれば、あるいは間違った操作をすれば、そうでなくとも、何らかの不運に出会ったら、すぐに「死」が張り付いてくる。
その感覚。しかしその感覚があるからこそ、ぼくたちは「生」をまた強く感じることができるのだと思う。
今日もまた東京を遠くから見た
GoPro HERO9を購入して、ただ弱者としての自分が東京の街を彷徨う様を動画に収めている。何とも言えない感覚だ。
自分がオートバイに、愛するBMW G310Rにまたがって、東京の街を闊歩している。死を近くに感じつつ、生を謳歌している。自分を感じつつ、世界を感じている。
楽しい
ただそう思う。生きていることがただ楽しい。
生を横溢すること。それは単純なようで、そう簡単なことではない。少なくともぼくはその方法の一つを手に入れた。
オートバイは素晴らしい。
全てのオヤジにこの感覚を知ってほしい。
先日はGoProの仰角を設定ミスして、景色が映らなかった。今日は仰角設定は頑張って合わせたのだが、撮影モード設定をミスした。なぜかハイパーラプスモードでの撮影になってしまったのだ。
せっかくレインボーブリッジと東京ゲートブリッジを走れたのに。
なかなか上手くいかないものだ。
本日初めてブログに辿り着きました。
310R等を検索している流れでした。
ブログ大変面白く、Twitterは1年間分は読ませて貰いました。(全集中でした)
オヤジにこそバイクに乗って欲しいは同感です。
老いていく中、傲慢になったり、視野が狭くなる
、そしていつの間にか死を意識する。
いやいやその前に生を感じよう!
生きるだけではなく、活きることをする。
そうすれば謙虚になり、他者を慮ることにも繋がる。
とまぁ読みながら考えました。
tokyoite_flatさん、コメントありがとうございます。
このブログで初めて頂戴したコメントです。
感謝です。
また記事内容を面白いと仰って頂き、ありがとうございます。
Twitterも読んで頂き、ありがとうございます。
G310Rを選んだ自分は間違っていなかったと思っています。
何に乗るにせよ、オートバイは素晴らしい。
若い頃には全然わかりませんでした。(笑)
宜しければ今後もちょくちょく訪れてください。
またYouTubeにもオヤジ連中で挑戦していきますので、
そちらもご覧頂けると幸甚です。
→POLYPHONY TV
https://www.youtube.com/channel/UC1NEt-oj1v9F_kWVbZfUSwg/featured
まだ誰も見ていませんが、チャンネル登録もできますゆえ。(笑)
機会があればお会い致しましょう。
海野裕拝