WORK

会社創設から20周年。これまでの総括とこれからについての気持ちを少し語ろう。

投稿日:2021年2月26日 更新日:

polyphony logomark

会社を作って20年が経ちました

本日2021年2月26日はぼくの会社の設立記念日。早いもので博報堂から独立して、自分の会社を作って20年が経ちました。まだ何かをやり遂げたという達成感は微塵もありませんが、一つの節目ではあるかな。

Facebookで友人・知人に向けて書いたメッセージをこちらに転載しておこうと思います。Facebookは人間関係の下水道システムだから、せっかく書いたものもタイムラインを流れ落ちていってしまいますから。

その点、ブログはきちんと残っていきます。だから、ぼくはブログの方が好き。

21年目の最初の1日に


おはようございます。

本日2021年2月26日をもって、弊社株式会社インターテクストは創立20周年を迎えました。まずはいろいろな形で私と私の仕事を支えて頂いた皆様に感謝申し上げます。

本当なら盛大にパーティでもしたかったのですが、このご時世です。残念ながらこの投稿をもって皆様へのご挨拶に代えさせて頂きます。

20年間いろいろ試行錯誤を繰り返し、何かの偉業を成し遂げたわけでもなく、社会的な評価を頂いたわけでもなく、思想的な高みに到達したわけでもありませんが、ただ目の前のいろいろなお題に対して真剣に誠実に向き合ってきたという感覚はあります。

もともと考えるのが好きで、考えすぎて宜しくない点も多い私ですが、特に2020年は時間もあって、ある意味有意義に過ごし、自分のスタイルを改めて見直し、確認することができました。

20年間の総括として、麻布十番の街に職住近接で生きる(働き、暮らす)、というスタイルを作れたことでひとまずはヨシとしようと思います。次のフェーズでは愛する音楽やオーケストラのために仕事をしたいなと思っています。

この1年間の騒動で、守るべきものは自分も含めた「人の日常」だと思いました。「人の日常」は当たり前過ぎて他の高邁な概念の方が重要に思われがちですが、日常こそが生だと思ったわけです。

今、セネカやパスカル、ルソーなどの思想が腑に落ちる自分がいます。実存主義的な思想も。そういう考えが好きな自分を確認し、それに相応しい仕事ができたらな、と思っています。

そうそう。三上という言葉をご存知でしょうか。馬上、枕上 、厠上の3つ。馬の背の上、枕の上、厠(トイレ)の便器の上。アイデアを思いついたり思想を深めたりするのに好適な場所という意味です。

私が東京でわざわざクルマを使ってきたのも、現代の馬上としての意味を大切にしてきたからです。最近、改めてオートバイに触れ始め、その思想性の高さに心を動かされています。

オートバイは思想のツールとして最高ですね。そういう観点で文献検索をすると、かの松岡正剛がオートバイに(免許は持っていないけれど)憧れを抱いている、という文章を見つけました。

そして山口昌男が「オートバイはイコンである」という文章を、養老孟司が「オートバイは命である」という文章を認めていたことを知りました。

若い頃松岡正剛(編集工学研究所)と仕事をして(彼から直接ではないが、その取り巻きたちから)結構マーケティングをバカにされた記憶があり、こんちくしょう、と根に持っていたのですが、ここに来て、へー、あの松岡正剛がねー、ザマーミロ(失敬)という心境です。

これらの文献は廃刊になったYAMAHA発動機の書籍『人機魂源』に記載されているようです。読んでみたいと思いますが、古書でもなかなか見つかりません。どなたか、お持ちの方がいたら、ぜひ貸して頂けると嬉しいです。ヤマハ発動機関係者の皆様、持っていらしたらぜひ。

そうだ。マーケティング×日常×愛情の向かう対象、という感じで過去から書いてきた文章をブログ形式に再編集しました。こちらも2020年の資産です。最近の私が何を考えているのか、はこちらをご笑覧頂けばわかります。まあ、そんなこと、あんまり興味ないか。ちょこちょこ撮っている動画へのリンクもあります。尚更、興味ないか。(笑)

ということで、21年目も変わらず、地味に行きます。自分の、そして関係する商品やサービスを通じて、ユーザー一人一人の日常を輝かせることを目指して。

引き続きよろしくお願い致します。

株式会社インターテクスト
代表取締役
海野裕


さてこれからもがんばるぞ

20周年を迎える今日はFacebookにどんなこと書こうかな、と思いながら寝ていたら、足が攣って激痛の中で起きました。

21年目の最初の1日は足が攣った日、になりました。(笑)

こうして文章を見返してみると、このブログに書いてきたことが割と大事だったことがわかります。

これはぼくのポリシー。社会的に重要なこと、尊敬されるような仕事から手を引け、というセネカと中島義道のメッセージは今も鮮烈に心に宿ります。

日常こそを大事に生きること。それもぼくにとって重要な哲学。

馬上でアイデアを作りながら、仕事をしてきたわけです。そして、その延長線上にオートバイという最高の思想のツールを手に入れたのです。

自分を見つめて、そんな小さな自分が社会にできることを考えていく。それが今のぼくのやり方。

さて会社設立21年目。どんなことを仕掛けていこうかな。

-WORK
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執筆者:


  1. tokyoite_flat より:

    20周年おめでとうございます。
    IT革命以降、マーケティングの概念自体がそれまでとは大きくて変わっていく中で、続けていけることは素晴らしいですね。
    ブログを拝見していて、なぜ続いているのか、少しだけわかるような気がします。

    売らんかなの精神ではなく、愛情を待ち、どの視点から仕事を見るか?そこに尽きるのでしょうね。

    マーケティングなんて云々の松岡さん(とりまき)、会社は丸善傘下ですし、最近は角川武蔵野ミュージアムの館長とマーケティングの巣窟みたいな場所にいらっしゃいますけどね笑

    本は面白いので何冊か読みましたが。

    • polyphony より:

      tokyoite_flatさん、コメントありがとうございます。
      そうなんです、いつの間にか会社設立20年になっておりました。
      何しろ続いていることが不思議です。(笑)
      当初は会社を大きくすることにもう少しこだわりがありましたが、
      近年は小さな社会(リトルソサエティ)を充実させることが望みです。
      個人的にマーケティングは生活の質を上げることが目的だと思っています。
      だから広告作りにはあまり関心がなく、
      10年そこそこで独立することになったのですけどね。(笑)
      仕事も大事ですが、仕事は所詮人生の一部に過ぎません。
      生を充実させること。
      それもまた難しいことですが、頑張りたいと思います。
      今日はG310Rで横浜赤れんが倉庫に行ってきましたが、
      恐ろしく寒かったです。
      体が冷え切ったので、今、ストーブの前におります。
      それではまた。

      海野裕

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