毎日の些細なことへの愛
ここ数日は世界の超大国、アメリカの大統領選挙の話題が世界中を席捲しています。老若男女、それぞれの言葉でこのテーマを論じています。世界秩序は当然大事なこと。地球規模で人を見つめる視線は大切。その場合、浮かび上がってくる課題は貧困だったり疫病だったり環境破壊だったりするわけです。
2020年は記憶に残る年。やはりインターネットが登場して、文字通りグローバルブレインが現出した世界で、初めて世界規模の疫病が猛威を振るったからです。多くの人は「世界」を論じられるまでになった。だから同時に「驕り」も「恐れ」も世界規模になったように思います。
もちろん世界を動かす力を持つ存在は現実にいます。人や企業や国など。それらが正常であることは、多くの人にとってとても大事なことだとぼくも思います。その一方で、ぼくたちの限りある「生」はもっと小さなかけがえのない瞬間でできている、というのもまた動かしがたい直観としてぼくに訴えかけてきます。
小さなかけがえのない瞬間
それこそを大切にしよう。そう、なぜならぼくたちはもうすぐ死んでしまうからです。
ぼくはいつの頃からか、なんでもない毎日をとても愛するようになりました。
ゆっくりと起きて、
ベッドの中でうだうだする。
猫が飛び乗ってくる重みを感じる。
妻がまだ寝息を立てている。
一足先に起きてコーヒーを淹れる。
パンケーキを焼いて、
できたよ、と声をかける。
玄関のドアを閉める。
猫たちが上目遣いに見る。
ごはんはまた帰ってきてからな。
エレベーターを降りて
自転車置き場にあるクロスバイクを解錠する。
ペダルの踏み出し、その重さで
今日の体調を感じる。
なんて瞬間。
そんな瞬間への愛に溢れる音楽をぼくはいつも探し求めていて、そのひとつがharuka nakamuraのものなのです。大好きな作曲家で好きなアルバムもたくさんありますが、その中から今日は“grace”を。そしてその1曲目に収められている“Everyday”を紹介したいと思います。
Everyday
ぼくが好きな作曲家の一人、haruka nakamura。初めて聞いたアルバムが“grace”でした。
↓のCDジャケットのサムネイルがAmazonへのリンクになっています。
これはharuka nakamuraのデビューアルバム。haruka nakamuraのプロフィールはこちらの公式サイトを参照してください。
About – haruka nakamura
最新作は初のミュート・ピアノソロアルバム「スティルライフ」。ソロ名義の他、様々なユニットで多数オリジナルアルバムを発表。東京・カテドラル聖マリア大聖堂、広島・世界平和記念聖堂、野崎島・野首天主堂を始めとする、多くの重要文化財にて演奏会を開催。 近年は、杉本博司「江之浦測候所」のオープニング特別映像、国立新美術館「カルティエ …
ぼくは何とも言えずこの作曲家の紡ぐ音が好きです。メロディはリリカル。そしてピアノに代表される音は極めて硬質で氷のように冷たい。あるいは星の光のようにか細い。でも強く、美しいのです。
haruka namamuraは青森県出身と知って、なんとなく腑に落ちました。あの寂寥感やピュアネスは、きっと北の国の空気や空の色から来ているのではないかと。
このアルバム“grace”の1曲目が“Every day”です。スコアは見ていないのですが、3/4拍子か6/8拍子で書かれているのではと推測します。耳に聴こえるのはいわゆる「ワルツ」の拍子。インストはギターが中心ですが、エレクトロニカの要素も強い音作りですね。
このEvery dayの詩はこんな感じ。ぼくが言わんとしていること、伝わりますか?
Everyday I look inside of world.
Everyday by haruka nakamura
Every world I love but so hard.
All I love everything go out of me.
Everyday I look don’t make the answer.
Everyday I proud all of the earth.
Glorious small room so love.
All I love everything go out of me.
Everyday I proud tiny us.
Touch.
Shake.
Stare.
Feel you.
Cry.
Travo.
Reduce.
Don’t make the answer.
Every day
All the earth
Every day
All I love
英語の意味がすべて取れなくても伝わるのではないかな。
Every day, Every thing, All I love.
the earth, tiny us.
Don’t make the answer.
毎日。全てのもの。
私はそれらを愛する。
地球、小さな私たち。
答えは出さないで。
毎日を愛するように生きよう
ぼくたちは、すぐに死んでしまいます。だから大切なことや大切なひとのために与えらえた命、貴重な時間を使いましょう。その使命が、地球や世界に関するものだとしたら、それは選ばれた人間なので、神に感謝しつつ、すべての人や地球や世界のために働きましょう。
でもたいていの人はそうではない。
だから、自分のまわりにある、小さな物事を、親しい人たちを幸せにできるように、心を配りましょう。それができたら凄いことです。でもそれだけだって、ぼくたちはなかなか上手にこなすことができません。
だから、毎日毎日、小さな物事を上手にこなして、親しい人たちを笑顔にできればとぼくは思っています。でもなかなかうまくいかないんだけどね。
BMW Motorradが掲げるワード。
Make Life a Ride.
人生を、旅するように生きる。
ここにもひとつのヒントがあると思っています。旅の時間、人は普段より充足しているのではないかと思うのです。だから毎日、今ここに、旅に来ているのだ、と思って生きるのは有効ではないかと考えるわけです。
ぼくはイマココに旅に来ている。親しい人と一緒に。
そう考えたら、さらにこの何でもない一日が大事に感じられませんか?
2020年11月8日の15:44分。今日も昼間の時間が終わりに差し掛かろうとしています。皆さま、どうぞ今日を大切に。
ばくが愛する、haruka nakamuraのアルバム“grace”をぜひ聴いてみてください。