これも骨折顛末記といえばそうかもしれない。左手首の骨折手術からようやく一ヶ月がすぎ、諸々なんとかリカバリー中。ただコンピュータのキーボードは厳しかった。あのフラットなキーボードは手首が返らない今のぼくには結構辛いわけ。そんな中、左右独立型のキーボードならもう少し楽かもと思い始めたところ、虎ノ門病院の先生からもサジェスチョンを頂き、早速探索したわけです。
これまで愛用してきたのはこれ
ぼくはロジクールの製品が割と好きでこれらを使ってます。キーボードはロジクールの最高峰、MX-Keysですね。
MX-Keys
↑この画像がAmazonへのリンクになっています。
この機種はバックライトも付いており、見た目も綺麗。2万円に迫る価格の通り、重量感も安定感もあり、キータッチや打鍵感も優れています。さらにデバイスを3つまで接続し、それぞれを切り替えて使えるのも便利。iPadやWindowsマシンを併用可能です。
これまで特段不便を感じこなかったのですが、手首を骨折してからこのフラットキーボードが如何に不自然であるかを思い知ったわけです。詳細後述。
MX-ERGO
↑この画像がAmazonへのリンクになっています。
これもロジクールが誇る最高峰トラックボールです。2017年発売だから少し仕様は古い。充電はMicroUSBですし。でもマウスのガチャガチャ感が嫌いなぼくには最高の相棒。最初慣れるまでは少し大変でしたが、慣れるとこれの方が数段使いやすく感じます。手首や肩にもいいと聞きますね。
フラットキーボードはなぜキツイ?
これまで当たり前のように使ってきたフラットキーボード。MacBook Airは無論、Appleの純正キーボードもほぼ例外なくフラット。PCを見てもAppleに追従しているケースが多いため、どこもほぼフラットキーボードです。でもね、このフラットキーボードって結構人間工学的には無理を強いているところがあるんですよね。
- 肩を閉じなくてはいけない
- 脇を絞めなくてはいけない
- 手首を内側に少し捻って盤面に添わさなくてはいけない
ね、実はこんな風に、ぼくたちは少し無理してフラットキーボードを使っているわけです。
本来、両腕の骨格は小指側(尺骨側)を下にした姿勢を基本としています。これは直立して両腕を下に自然に垂らすと理解できるはず。フラットキーボードを使うとき、この自然な体勢から両腕と肩、手首を使って合わせているのです。
健康な状況ならこれも大丈夫。人によっては肩こりや手首の腱鞘炎を訴える人もいるようですが、ぼくの場合、これで随分と長いこと問題なくきたわけです。
ところが。
骨折して手首がうまく回らない状況になった途端、これが途轍もなく辛くなってきたのです。
左右独立型はとっても高い
フラットではないキーボードを探し始めたら、それなりに製品があることもわかりました。そしてそれらがあまりポピュラーでない理由も。何しろ、これらの製品は非常に高価なんです。いくつか有名なモデルがあるので紹介しておきますね。
Mistel BAROCCO MD770
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こちらお値段は2万円少々。LEDのライティングもあったりして、ゲーミングキーボードの様相です。YouTubeなどでの評価は上場の様子。でもぼくにはなんとなく合わない?
Kinesis Advantage2
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こちらは完全に両手の骨格に合わせるタイプ。お値段は6万円超。
KINESIS Advantage360
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こちらはAdvantage2の発展版。完全左右独立のキーボード。お値段は驚愕の10万円越え。中古のMac買えるっちゅうねん。
現実的な製品も見つけた
今回のぼくのニーズは比較的切実。だって左手首が返らないから、フラット型のキーボードが打てないのですから。少しでもこの状況が好転させられればと思っているわけです。とはいえ、キーボードにしかも効果がわからないキーボードに6万円〜10万円は払えません。いや払えるけど、それに使うくらいなら他にも欲しいものあるし。(笑)
ということでもう少し現実的な選択肢を求め始めたらこちらも結構見えてきたわけです。
マイクロソフト エルゴノミック キーボード LXM-00018
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こちらは2013年リリースなので少し古いモデル。かつてこのようなエルゴノミックキーボードと言えば、マイクロソフトだったんですよね。確かにプログラミングとかのオタクっぽいイメージあるからね。ビル・ゲイツ氏のイメージもそうだからね。
このLXM-00018も愛用者は多い模様。だけど10年の長きに亘ってニューモデルが出ていないということはマイクロソフトの考え方も変わってしまったのかな。設計が古いのもあり、有線接続はクールじゃないね。お値段は7000円くらい。
マイクロソフト スカルプト エルゴノミック キーボード for Business 5KV-00006
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このモデルは無線接続。テンキーは別になっている。でもなんとなく造形がいけてない気がする。それにWindowsキーがありそう、ってか絶対ある。(笑)
ぼくはMacに接続して使いたいので、Windowsキーの存在とキー配列には我慢できないかも。お値段は8000円。
ロジクール ERGO K860
↑この画像がAmazonへのリンクになっています。
結局たどり着いたのはこれでした。ロジクールがなんと2021年秋にエルゴノミックデザインのキーボードを発表していたのですね。マイクロソフトのLXM-00018と近しいデザインですが、こちらは設計が格段に新しい。それに慣れ親しんだロジクールのMX-Keysと同じキー配列。ドライバソフトウェア周りも今の環境で行けるでしょうし、やっぱりこれだよね、ということでポチりました。お値段は16000円程度。割とお高い。でも現実的な範囲です。
この選択に間違いはないはず。あとは左手での打鍵が今よりスムースにできるかどうか。
ロジクール ERGO K860、概ねいいぞ
ということでポチってから中1日でオフィスに届きました。早速設定して使用開始。一番重要だったのは左手で打鍵できるか、というポイント。
フラットキーボードより格段に打ちやすい
これはびっくり、感涙レベルです。
ぼくが期待したのは中央が高くなって小指側(尺骨側)が下がることで手首の負担が軽減されることでした。そのために適切な角度がわからなかったので、その点が少し不安だったのです。でもこのERGO K860、中央に向けて12度(だったと思う)の角度がついており、結果的にこれは打鍵に伴う負担軽減には十分でした。
それとこのERGO K860は指先よりも手首側が高くなる構造でさらにその角度を選ぶことができます。設定は0度、-4度、-7度。ぼくは手首の痛みを比較して現段階では-7度で使っています。つまり、手首側を最も高く設定しているわけです。
それとこのERGO K860にはパームレストが固定されています。いや厳密にいうと、
パームレストではない、リストレストである
という感じ。つまり手首を安定させるためのパーツが予め設計されている、と言っていいと思います。これがとてもいい感じ。さらにその素材がサラッとしていて汗で滑るようなこともなく非常に快適な操作感を提供してくれます。うん、これはとてもいい。
ただいつも通りロジクールの罠に気をつけろ
製品はかなりいい。確かにMX-Keysに比べると再生プラスチックの質感は低いし、重量感、剛性感は劣る。でも今回のポイントはそこじゃない。骨折で可動範囲の低い左手首の負担を軽減し、普通のスピードで打鍵できるようにすること。その目的は十分達成できました。この買い物は成功と言って良いと思います。よかった。
でもね、いいことばかりではないんです。このプロダクトを購入した人がおそらくぶち当たるであろう障壁は、他ならぬロジクールそのものからもたらされるのです。それは、
デフォルトだとキーの通りに入力できない
という問題です。ええ、大問題なんです。
ロジクールの製品はロジクールオプションというソフトでコントロールされているのですが、これの使い勝手が非常に良くない。もちろん、製品のボタンのカスタマイズなどいい点もあるのですが、キーマッピングがスムースにいかないのは非常に困ります。これだけで使用をやめちゃう人も多いと思うレベル。
概ねのキーは大丈夫なんです。でもね、「」とか@とかの場所が表示と異なってしまうのです。これ、実際に入力しなくちゃいけない局面だと相当ストレスになりますよね。
ググっているうちに解決策を書いているサイトを発見。いつもながら集合知に感謝です。こちらのサイト。
ロジクールのキーボードをMacで使う場合、
- 「ロジクールオプション+」というソフトをインストール
- その上でMacの「システム環境設定」>「キーボード」>「キーボードの種類を変更」>「一般的な日本語配列(JIS)を選択」という作業が必要
- その上でMacを再起動した方が無難
なことを明記しておきます。ぼくの場合、上記のプロセスを経て初めて完璧に使えるようになりました。めでたし、めでたし。
ということで先日まで音声入力に頼っていたぼくも、ようやくこうしてキーボードを叩きながら原稿が書けるようになったのです。
ERGO K860、素晴らしい。ありがとう。
手首の骨折に悩む人はそれほど多くはないと思いますが、これで救われる人がいたらいいな。