電動スクーターで片付けられない予感
BMWモトラッドが2020年11月11日に都市型の電動スクーター、Definition CE04を発表しました。技術的なハイライトなどはひとまず横に置くとして、単純にモノとして、あるいはスタイルとしてかなりカッコいい世界観を持っているなと思うのです。
まずはメインビジュアルを見てみてください。
なんか、すごく未来的じゃないですか?新しい電動スクーターでーす、というノリではなく、新しいモビリティのスタイルを提案している、という勢いが感じられるのですよね。
2017年に伏線は貼られていた
今回のディフィニションCE04が「カッコいいじゃん!」とぼくの琴線に触れたわけですが、実はこのプロジェクトは既に2017年に発表されていました。このYouTube動画をご覧ください。
ここではConcept Linkという形で新しい電動スクーター型モビリティが提案されており、ビデオの中では次のような言葉が語られています。
- Of course, it’s electric.
- Of course, it’s intelligent.
- Of course, it’s connected.
電気で駆動し、コネクティブで、AI化された形で自動運転技術が盛り込まれている都市型モビリティというコンセプトはここですでに完成されていました。
形は今回のディフィニションCE04の方が少し大人しい気がしますが、それだけ市販に近づいたと理解するようにします。しかしこのConcept Link、既にかなりカッコいい。そしてドイツで開催されたと思われる発表会では、BMW AGのプレジデント、デザイン部門のヴァイスプレジデント、BMWモトラッドのデザイン統括者などがそれぞれ込められた思いを語っていて興味深いビデオになっています。
モーターバイクを通じて未来を見通すという仕事にそれなりの投資を行っているメーカーはそれほど多くない印象をぼくは持っています。多くのメーカーは現在のモーターバイクが一部の人たちの趣味として生き残っていく未来しか見ていないようにも思えます。
その点でBMWは4輪はもとより、BMWモトラッドの2輪を含め、モビリティに嗜好性を残すための実験に意欲的に取り組んでいるメーカーに見えます。都市型2輪のマーケットをぼくが考えるよりも大きく需要予測しているのかも知れませんね。機会があったら、BMWモトラッドのマーケティングディレクターに将来の需要予測モデルについて聞いてみたいくらいです。
スタイルとしてのEB
そんな言葉は一般的ではないわけですが、
EB=Electric Bike
という概念を定義してみようと思います。
EVは一般化されつつあります。でもEBなんて言葉はないわけです。でもこのBMWモトラッドが発表したCE04はEBというスタイルを提案しているように、ぼくには思えるのです。
ミネラルホワイトにオレンジを挿し色にしたカラーリング。これも結構いい。EVはグリーンやブルーを挿し色に使いますが、EBはそれにもっとエモーションが入ってくるイメージ。とってもいいと思います。
ライディングアパレルも画期的。視認性を上げるレッドのパイピングはジャケットを温める機能も持っている模様。ボディと同じコンセプトでカラーリングされたヘルメットもあわせて、このEBに乗るスタイルを創り出そうとしているのがいい。
ヘルメットもボディにスマートに格納されます。これは2017年のビデオを見ると実にカッコいい。スタイリッシュな世界観だと思います。
BMWモトラッド、さすがだと思う
クルマを作り続ける。オートバイを作り続ける。いずれも意義ある仕事だと思います。しかしBMWはそれを自ら越えて行こうとしている。新しい移動の在り方、そのスタイル自体を創り出そうとしているとぼくには思えます。
つまり、
Make Life a Ride.
人生を、旅するように生きる。
そんな人生を支え、彩ることができるモビリティを創り出す、という使命感をBMWには感じるんです。
それが凄いと思うし、そういうメーカーだからこそ、何か新しいものが作れると信じるし、期待するわけです。ユーザーから期待され、それを凌駕するものを出していく、というのは大変な仕事です。
でもだからこそ面白い。
そう考えるモビリティ開発のプロがいるBMWにはやはり期待していいのではないかと思うのです。
新しいディフィニションCE04のプロモーションビデオはこちら。
でも正直、上の方にある2017年のConcept Linkを紹介する、Make Life a Ride.のVPの方がいいね。