左手首を骨折して虎ノ門病院に救急搬送されたぼく。翌々日には橈骨の整復手術。その11日後には尺骨の整復手術を行いました。今のところ経過は順調です。さて実際のところ、骨折に伴う痛みはどの程度のものなのでしょう?実体験をもとに野良猫教授が語ります。
左手首橈尺骨遠位端骨折の手術とは
今回のぼくの怪我。左手首の遠位端骨折というものです。腕は橈骨と尺骨という2本の骨でできており、その2本が手首に繋がっています。ぼくは医療者ではないので、人体の詳細を知るわけではありませんが、今回の経験で骨、筋肉、腱、神経、血管などについてある程度詳しくなりました。虎ノ門病院の先生がタブレットで詳しく説明してくれる、そのソフトウェアが素晴らしくて。人体の構造がめちゃ詳しくわかるんです。
マジであのソフト、欲しい
今度、先生にあったらどうやったら手に入るか聞いてみよう。
さて、弊社で契約しているshutterstockで「手首、骨折」と検索したらこのような画像がヒットしました。なんでもあるね。
この写真の右側(親指側)、手首に近い方の骨が橈骨。尺骨よりも少し太くなっているのがわかりますよね。ぼくの場合、このあたりが粉砕されていました。で、もう一本左側(小指側)の細い方が尺骨。こちらは橈骨ほどは酷くありませんでしたが、ポッキリといっていました。
以前にも書きましたが、 2本とも折れると手首の重さがもろに腕にかかります。 そしてこれが結構重いんですよね。普段はいかに骨と筋肉がその重さを支えてくれているかがわかります。 左腕にかかる左手首の重みを、ぼくは一生忘れないと思います。
手術では、この2本の骨をそれぞれチタンのプレートで支える形で整復します。 詳しい事は分かりません。橈骨のほうは少し大きめのチタンのプレートの下に砕けた骨を集めてつなぐのではないかと推測します。 手首を 手のひら側から切開し、プレートを入れて骨を元に戻します。
尺骨のほうは、 小指側の手首を切開し、同じくプレートを入れて固定するとのことです。 橈骨側は約10センチ、尺骨側は約6センチの縫合跡になります。 最近は傷跡もほとんど目立たないように治るそうですが、男性だからいいものの、女性だとかなり落ち込むのではないでしょうか。
どのくらい痛いのか
これは正直かなり痛いとしか言いようがありません。いかに感想を列記します。
事故の痛み
その瞬間は全く痛くありません。当たり前ですよね。一瞬ですから。 その後時間の経過とともにひどく腫れてきます。このときの痛みは痛いとは言え、他の様々なノイズに打ち消されて痛みを感じることが少ないかもしれません。仮に痛みレベルを25としておきます。100段階スケールです。
麻酔の痛み
救急で運ばれた後、応急処置として神経ブロック注射で麻酔し、初期の整復を行います。 神経ブロック注射では神経に直接麻酔薬を注入します。この時はピリピリとした痛みが伴います。痛みレベル10としておきます。
初期整復の痛み
これは神経ブロック注射が効いていればほぼ痛くありません。 痛みレベル2。
手術の痛み(橈骨)
この時はあまり麻酔が効かず、追加で神経ブロック注射を打ちました。そのプロセスでは少々痛かったです。ただ、麻酔が効いていますので、手術中の痛みはほぼありません。痛みレベル3から5。
手術後、当日の痛み(橈骨)
麻酔が切れてから次第に痛みが増してきます。点滴でも鎮痛剤を入れますし、錠剤も服用します。痛みの質は鈍く長いものです。文字通り激痛と言うよりは疼痛です。狭いベッドで寝返りも打てないと言うこともあり全く眠れませんでした。痛みレベル40。
手術翌日の痛み(橈骨)
手術翌日も入院し、翌々日に退院しました。その間痛みが増すこともなく、比較的穏やかに推移しました。 いろいろな人の話を聞くと、痛みで悶絶すると言うケースもあるようです。僕の場合、そこまでの痛みはなく、もちろん痛いですが耐えられるレベルでした。 痛みレベル40。
手術の痛み(尺骨)
前回の経験もあってか、かなり念入りに麻酔を施したようです。 その甲斐あって手術中の痛みはありませんでした。痛みレベル3から5。 ただ、麻酔による「自分の手ではない感じ」 は非常に強かったです。これは痛みではありませんが、かなり不快なものではありました。
手術後、当日の痛み(尺骨)
橈骨の時は比較的穏やかだったので、今回もそうあればいいなと願っていました。 骨折の状況も尺骨の方が軽かったと認識しています。 ところがどっこい。この2回目の手術後の方がはるかに痛かったです。 痛みの質は同じで鈍い痛みがずっと続くイメージです。 ただその痛みのレベルは前回以上でした。 痛みレベル65。 ナースコールをしてトラマールを処方してもらいました。
その後の痛み(尺骨、橈骨)
10センチ程度切開していますので、傷の痛みは当然あります。橈骨側は手術から10日後位に抜糸しました。 尺骨側はまだ縫合されています。 全体として、手術が遅かったこともありますが、尺骨側の方がはるかに痛みが残っています。継続的に痛みレベル15から20。
と言うことで、結論としてはかなり痛いと思います。 例えば、指先をカッターで切ってしまったとして、それでもかなり痛いですよね。このくらいでおそらく、痛みレベル5から10になるのかなと思います。 いずれにしてもあまり経験しないことをお勧めいたします。
その後の経過
尺骨の手術から2週間が経ち、すでにリハビリが始まっています。 リハビリテーションもそれなりの痛みを伴います。さらにリハビリで動かしたリアクションなのでしょうか、これがまた結構痛いんです。 手首はかなり複雑な動きができるように作られているんですよね。前後左右、 あるいは回転。指の曲げ伸ばし、特に親指は他の指にはない複雑な動きができます。その分、回復には長いプロセスが必要になるわけです。
とは言え、悪いことばかりではありません。毎日少しずつ確実に回復している実感があります。 50代後半で毎日確実に成長することなんてなかなかないですよね。その意味で怪我からの回復も小さな幸福をもたらしてくれると言えるような気がしています。
それにしても、左手が使えないと言うだけで、いかに大変か思い知りました。
お茶碗は持てませんし、ペットボトルのキャップも開けることができません。
月並みではありますが、 これまでの生活は健康であることが前提になっていたと思い知りました。この前提が崩れるといろいろなものが崩れていきます。つまり五体満足で健康であること、まずはそれがなににもまして幸福なのだと思ったわけです。
また、左手が不自由になって、利き手だけではできないことも多いと言うことが身に染みてわかりました。そしてこれは人間関係にも共通するのではないかなと思いました。 無論、利き手が自分で、左手は利き手を助けてくれる周りの人たちと言うことになります。
利き手である自分は何でも自分でできると思っている。でも、実は左手がないとできない事は山ほどあるのですね。
初めて骨折、入院手術を経験し、病院のベッドで苦痛に耐えながらいろいろなことに思いを巡らせました。 2023年は50代最後の年となります。この機会に今までとは違う考えに至った事は意味があったなと思っています。