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日産Fairlady Zが回顧的なフォルムで12年ぶりにフルモデルチェンジ。

投稿日:2020年9月17日 更新日:

FairladyZ

頑張れとは思うけど

日産、大丈夫かなぁ。いい材料がほとんどないですよね。ぼくは日産車は最初にタダで譲ってもらったパルサーしか乗ったことがないので、あまり思い入れはありませんが、好きなクルマもチラホラありました。

Fairlady Z
シルビア
180SX
ブルーバードSSS

ってとこかな。

クルマよりも会社としての日産があまり好きではない、というのが本音のところ。その理由を挙げてみるとこんな感じ。

  • ダメな日本企業の代表みたいな存在
  • 社内政治ばかりやっているうちに経営不振
  • 日本人の経営者では大ナタが振るえず行き詰まり
  • 結局ルノーから、かのカルロス・ゴーンを迎え漸くコストカットできた
  • ゴーン体制だから、GT-RもZも残った
  • 日本人経営陣だったら無くなっていたかも?
  • 理由はどうあれ、ゴーンによって救われたのに、ゴーンを逆恨み
  • 結果的に政府に泣きついてゴーン追放
  • その後環境も変わり、販売不振で窮地に
  • 銀行団からの緊急融資のうち1,000億規模に政府保証付き
  • おいおい、公的資金で救済かよ(←いまここ)

事実誤認もあるかも知れないけれど、個人の印象としてはそんな感じ。そして日産の場合、広告も嫌い。

広告におけるナルシシズムの典型。顧客目線ゼロ。ダメだよね。マジで。それもこの広告は原型が矢沢永吉による一人称の語りだから成り立っていたんだよね。そして矢沢永吉から日産へのエールという形だから広告が成立していたのに。

二種類の人間がいる。やりたいことをやっちゃう人とやらない人。(中略)俺はこれからもやっちゃうよ、あんたはどうする?

矢沢永吉@やっちゃえ日産

木村拓哉を起用して、矢沢永吉のコミュニケーションフレームが成立すると計算していたのだとしたら、広告制作者も日産のマネジメントもダメだよなぁ、と思う。

まあ、作りたいもの作れば?そしてそれで顧客を驚かせたり、感動させたりすればいい。それがすべてさ。と、ぼくは思いますね。

それができない企業だからこんな広告やるんだと思うけど。ちょっと厳しいけど、クルマが好きな消費者の見方はそんな感じだと思うよ。

GT-Rは凄かった

日産の広告は酷いけれど、R35のGT-Rは凄いクルマだと思う。何しろ速い。重いのにメチャクチャ速い。ぼくはポルシェ派を自認していますが、一時期はポルシェターボがまったくこのR35GT-Rに歯が立たず、ターボSを開発したくらいですからね。

この動画にもあるように、ポルシェのフラッグシップである911ターボと互角かそれ以上のパフォーマンスをR35 GT-Rは示し、結果、純粋なスポーツカーを作り続けてきたポルシェを青ざめさせたわけです。

あっぱれ、日産。これこそ、技術の日産だ。

メーカーの公式ページには0-100㎞加速のタイムが示されていないようなので、少し調べてみると、2014年モデルくらいから、2.7秒~2.9秒くらいの速さのようですね。市販車としては世界最速レベルであることは間違いないですね。

ちなみにぼくが今まで乗ってきたクルマで最も速いのは2008年モデルの997タイプのポルシェ911カレラです。その0-100㎞加速は5.0秒でした。その前に乗っていたE46の330Ciは6.5秒。この1.5秒の差はビックリするほど大きかったですね。

加速感というのは非日常

なのです。

ぼくの感覚だと5.0秒くらいのクルマから、その加速はかなり非日常的なレベルになってきます。R35 GT-Rは997カレラの半分くらいのタイム。つまりその倍くらい速い訳ですから、とんでもない非日常性だと想像します。チビりそうなくらいの速さです。

Fairlady Zもフルモデルチェンジ

技術の日産のフラッグシップはR35 GT-Rですが、もう一つ、Fairlady Zというフラッグシップもあります。日産はこの2つを別々の個性で創り上げようと考えていると思います。その意味でGT-Rは成功してますが、Zの方は今一つ迷走している感が個人的にはありますね。

GT-Rはポルシェターボを脅かすような性能、というシンプルで分かりやすいベンチマークが設定されています。一方でZの方は今一つ何がしたいのかわかりません。現在売っているモデルはこんな感じ。

日産:フェアレディZ [ Z ] スポーツ&スペシャリティ/SUV Webカタログ トップ

すべては走りのために−パフォーマンス、デザイン、クオリティすべてを進化させたフェアレディZの公式サイト。フェアレディZのプレミアムムービーとカタログ情報をご覧いただけます。カタログ請求、見積りシミュレーション、他車比較などができます。

形も凡庸ですし、価格も400万円~ということを考えると、1,000万円からNISMOなら2,500万円もするGT-Rのような性能は望むべくもないわけで、スポーティなデザインを与えられた普通のクルマであることが予想されちゃいます。

そんなZがこの2020年秋にフルモデルチェンジ。プロトタイプが発表されました。ウェブではティザー動画が先行し、その後、プロトタイプが登場。この流れと広告の作り方は「企業広告(やっちゃえ系)」よりはずっと好きですね。オーソドックスだけど。

新型Fairlady Z、どうだろ?

2020年9月16日、新型Fairlady Zがアンヴェール。Zの歴史を紐解く動画に出てきたクリームイエローの430Z(かな?)を下敷きにしたかのようなイメージカラーで登場しました。その動画はこちら。

個人的には結構頑張ったデザインだと評価したいと思います。日産の公式Facebookにスチルがあるのでそれで改めてみてみましょう。

ぼくの周囲のオジサマたちの評価は賛否両論みたいです。個人的にGT-Rのカタチは好きではなく、まだFairlady Zの方が食指は動きます。このフォルムはZが最も輝いていた430Zに大きくインスパイアされたものであることは間違いないでしょう。

日産:NISSAN OWNERS’ MAGAZINE | NISSAN ARCHIVE 挑戦の記憶 Back to 1969年

高度経済成長期のまっただ中にあった1969年、一台のスポーツカーが発表される。 世界中で熱狂的な支持を受けたフェアレディZ誕生のいきさつを”ミスターK”こと片山豊氏にうかがった。 …

このページなどを読むと、日産に限らず日本企業のモノづくりに一本の幹のように哲学や美意識があったことを思います。なぜそれらが希薄化してしまったのか、考える必要がありそうです。それはクルマに限らず多くの領域に共通する問題なんじゃないかと思うんですよね。

その意味でもしも否定的な意見が多かったとして、Fairlady Zの新型を2020年に送り出す、ということは過去の遺産を総括し、それでも未来に向かうという行為だと思いますし、有意義なことではないかと思います。

頑張った、日産。

デザインや機能などについても下の動画で解説を聴くことができます。コメント欄を見ると海外(特にアメリカ)から好意的な意見が多くみられます。

思えばヨーロッパのブランドなどは巨大な過去の遺産と戦うことを運命づけられています。アートにせよ、文学にせよ、クルマづくりにせよ、です。日本のクルマもそうした領域に近づいているのかも知れません。

AIやMaaSがコモディティとしてのクルマを現実のものにしていく一方で、遊び道具としてのクルマや趣味としてのクルマもまた、その性格をハッキリさせていくことになるのではないかとぼくは思っています。

フェラーリは明確にそちらを志向していると思います。ポルシェ911は微妙かな。それよりはモーターバイクの方がはっきりと遊びのためのツールの性格を強めていくでしょうね。今回のZのフルモデルチェンジ。そんなクルマの未来を見通したものであればいいなと思います。

今後に続く、市販車がどんなメッセージを発してくれるか、ちょっと期待しています。

もう広告はいいから、ほんとにやってくれよ、日産。

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