ガレージハウスに漂うコレじゃない感
世の中にはクルマやバイクを愛する人も少なからず存在します。ぼくもそのひとり。ぼくの場合は世代的な影響が大きい。いわゆる「スーパーカー世代」というヤツです。ぼくが小学校低学年から高学年にかけて、世はスーパーカーブームだったのです。池澤さとし氏による『サーキットの狼』が大ヒット。公道グランプリとか、走り屋とか、今思うとかなり「反社会的」なコンセプトに対して寛容な社会だったもんだなと思います。
そんな子どもも今やすっかりオヤジ。髪はすっかり白くなり、携帯電話のナンバーも全くもって記憶できない。でも、クルマやバイクの話になるとその知識はいまだに明快だし、それらを語らせたら立板に水だったりするわけです。奥様方がどう評価するかは別にして、まあ愛すべき「おとな子ども」と言えるのではないかなと。総じて権力にぶら下がって晩節を汚すジジイどもとは対極にある、自分の趣味に生きるオヤジたち。当然ながらぼくはこっちの方が好きです。
脱線。閑話休題。
クルマやバイクを愛する「子どもオヤジ」たちの夢の一つはガレージハウス。自分の好きなクルマやバイクを身近に感じられるライフスタイルの実現です。ところがこれが難しい。独身だったら問題ないんです。でもいい歳したオヤジはだいたい愛する家族を持っている。そして概ね、奥様が上司だったりする。となると自分一人の嗜好だけでガレージハウスを作るわけにはいかない。
もちろんメチャメチャ成功して余りある財力を持っているなら話は別。別宅でも趣味の家でもどこにでも作って頂いて結構。でも家族との生活の質や利便性を確保しつつ、自分の趣味の城を持とうとする場合、その実現はかなり難易度の高い課題と言えましょう。だから数名でチームとなって実現する、というのも一つの解決策なのですが、同じ趣味を持つ者とは言え、人が集まると軋轢も生じます。せっかく趣味で集まったのに人間関係で悩んで趣味を楽しめない、なんてのも無粋ですよね。
また脱線。閑話休題。
そんなオヤジたちが「このくらいならできるかな」と思うのはガレージと一体化されたコンパクトなガレージハウス。賃貸ならそれほど無理のない賃料で存在します。ところがね、これらにも問題があるんです。そうロケーションです。
これらの物件の多くは、バイクや車でアクセスできればいいだろ、的な幹線道路沿いで都心から離れた場所に立地しているのです。そんな場所に拠点を持っていても正直、気分は上がらないと思うんですよね。
オーダーメイドガレージは敷居が高い
じゃあどうすんの?と詰められても答えがない。うーん、と唸って静かに固まるしかない。先述の通り、投資すればそれなりにいいものが手に入るのは間違いない。例えばこれ。
BELSTAFFを発掘する際に参考にした、SR500のカフェレーサーに乗るメチャかっこいい女性、Yuさん。彼女はバイクライフの伝道師として、ガレージのプロデュースにも着手。すげ。実業家としてのセンスもあるのか。天は二物どころか何物も彼女に与えちゃっている気がしますね。
YUさんのInstagram
愛車と過ごすガレージをつくってます。カッケー。
casagarageのInstagram
憧れるなぁ。でもこの線まで行けるのは相当ハイレベルなオヤジな気がします。少なくともぼく、野良猫教授には敷居が高い。
デイトナハウスには割と惹かれる
デイトナハウス✖️LDKというプロジェクト、というか、プロダクトがあって、こちらは鉄骨などの建築資材をモジュール化してガレージや住宅などを割とすっきりしたマニッシュな空間として作り上げられる規格です。お値段も比較的リーズナブルらしいと聞きます。そして、これはガレージなどに好適な質感や雰囲気を持っており、オヤジ心にぶっ刺さるわけです。企画コンセプトは以下のように書いてあります。
DAYTONA HOUSE✕LDKは、人生の創意工夫をテーマにした雑誌『デイトナ』と、
DH*Lのウェブサイトより
数多くの設計&建築を手掛けてきた『LDK』のコラボにより誕生した建築ブランドです。
デイトナは、その独自の観点からの誌面作りを通して“新たなライフスタイルの提案”
というソフト面を担い、そしてLDKは拡張性に優れる軽量鉄骨建築システム『LGS』を用いて、
その趣味性に富んだオーナーの受け皿となる多様な建築物を担当します。
色々な建築を手掛けているようですが、その中にガレージ付きのアパート、というものがあり、これが結構良さげに見えるのです。YouTubeにコンセプトvideoがあるのでそれを見てみましょう。
こちらにガレージアパートに関する記述があって、それは結構いい感じに描かれているので紹介したいと思います。
これまでの多くのガレージ賃貸は“愛着”という言葉とは縁遠いものでした。 吊しのスーツのような、どこかよそよそしい存在。 そんなガレージ賃貸の常識を覆すべく、弊社が開発したのがこのガレージアパート『GLB』です。 “GARAGE”、“LIVING”、“BEDROOM”の頭文字を取って名付けたもので、まさに趣味人にとっての“必要分”だけを抽出した空間となっています。 しかし、決して狭さを感じさせるものではなく、スタンダードの仕様でバイクだけなら3台、クルマ1台+バイク1台を格納可能で、十分なスペースを確保しています。 最大の特徴は、その“剥き出し感”。あえて内装の鉄骨を露出させることで、 まるで基地のような特別感を出すと同時に、空間演出の幅も広がります。 規格統一で、鉄骨造やRC造よりローコスト化を図りながらも、オーナー自らが、空間を仕立てて行く感覚を味わうことができるので、自分だけのオリジナルな空間になるのです。 これまでの賃貸にはない、“愛着”を感じてもらえるのが『GLB』の強みです。
GLBコピー
いいじゃん。
ぼくは今、箱根に「アトリエ×ガレージ」の機能を持った拠点を構想中。
そのベンチマークとしてもこのGLBはいいなと思ったわけです。賃料もそれほど高額ではなく、しかもシェアもできる仕組み。拠点を作るのであれば、企画がこれを超えない以上はこれでいい、と思ったわけです。ちょうど箱根湯本にGLBが募集中。
この広さと立地、装備で10万円という賃料はリーズナブルに感じます。唯一、ぼくがそれでもオリジナルな拠点がいいなと思うのはこれ。
コミュニティ性が過剰そう
ということです。1号室から7号室まであると、そこには最低でも7つのコミュニティがあるわけです。そしてそれぞれのコミュニティはかなりクセの強いものになる可能性が高い。
コミュニティというものは強い排他性を持っている
のが普通です。例えばBMWのコミュニティとハーレーのコミュニティは相容れないわけです。(笑)
そう考えるとすぐ近くに異質なコミュニティを抱えるこの物件はかなり危険というか、文字通り火薬庫というかトラブルが絶えないのではないかと予想したりします。
違うのかな。
このポストを書いていて腹落ちしましたが、趣味のコミュニティは独立性を担保すべきですね。それがないと幸福になれない気がします。
ということでやはり、
自前で自分らしいスペースをリーズナブルに作る
という路線を確認したぼくです。